2025年夏、Shopifyは150を超える大規模アップデートを発表しました。
テーマ編集からAIアシスタント、B2B機能、チェックアウト、グローバル対応、開発環境に至るまで、あらゆる領域において過去最大規模の進化が行われています。
しかし、多くの利用者にとっては「どこがどう変わったのか?」「自社に関係あるのか?」が分かりづらいのも事実です。
本記事では、
・Shopifyが公式に分類した12カテゴリごとのアップデート内容
・実務で押さえるべき注目機能
・日本国内ユーザーに影響のある変更点
・今後の活用ポイント
を中心に、2025年最新情報として徹底解説します。
- 目次
- 1. Shopify 2025年アップデートの全体概要
- - 1-1. 今回のアップデートの背景とShopifyの方向性
- - 1-2. アップデート内容の分類と読み方
- 2. 各カテゴリ別アップデートの要点まとめ
- - 2-1. テーマ:より柔軟な編集とOS2.0の進化
- - 2-2. Sidekick:AIによるストア管理アシスタントの進化
- - 2-3. 小売(POS):店舗とECの一体運用がさらに簡単に
- - 2-4. チェックアウト:自由度とスピードが大幅向上
- - 2-5. グローバル:越境ECへの対応力アップ
- - 2-6. マーケティング:集客からCRMまでの統合機能強化
- - 2-7. Shopアプリ:リピート促進とファン化支援
- - 2-8. B2B機能:法人販売に特化した改善が多数
- - 2-9. 配送と在庫:物流最適化のための自動化強化
- - 2-10. ストア運営全体:日々の業務をもっとスムーズに
- - 2-11. 開発者向け:API・CLIの刷新とドキュメント強化
- - 2-12. Shopify ドライブ(Shopify Drive):画像・ファイル管理の最適化
- 3. 特に注目すべきアップデート【日本ユーザー必見】
- 4. アップデートをどう活かす?導入判断のヒント
- 5. まとめ
https://www.shopify.com/jp/editions/summer2025
1. Shopify 2025年アップデートの全体概要
Shopifyは2025年5月、「150以上のアップデート」を発表し、過去最大級の機能強化と構造刷新を実施しました。
今回のアップデートは、単なる機能追加ではなく、Shopifyの今後の方向性と戦略を明確に示すものです。
1-1. 今回のアップデートの背景とShopifyの方向性
Shopifyは2025年、これまでで最大規模となる150以上の新機能・改善を発表しました。
今回のアップデートは単なる機能追加にとどまらず、Shopifyが掲げる「次世代コマースプラットフォーム」としての進化を象徴しています。
Shopifyの2025年夏アップデートは、以下のような市場背景とユーザー要望に応えるかたちで実施されました。
[主な背景]
・グローバル競争の激化(Amazon、楽天、Temuなどとの差別化)
・B2B ECやサブスク型ECの成長
・生成AIやノーコードツールの普及による運営者の期待値の変化
・開発者、企業パートナー向けエコシステムの拡大
Shopifyは今回のアップデートで、「誰でもグローバルに売れるストアを簡単に構築・運用できる」というビジョンを一段と現実に近づけています。
1-2. アップデート内容の分類と読み方
[基盤から刷新された「HORIZON」の存在]
重要な変化は、Shopifyが独自に構築した新しい開発基盤「HORIZON」です。
これはShopify Functionsやチェックアウトの柔軟性向上、開発者体験の強化など、拡張性と安定性を両立させるためのプラットフォームインフラです。
HORIZONの特徴↓
・ストアごとのカスタマイズを高速、安全に反映
・Functions(ロジック制御)を低レイテンシで実行可能
・APIの安定性とパフォーマンスの向上
・複数アプリやストアのデプロイ管理を統一
これにより、開発者はより精密かつ保守性の高いストア構築が可能となり、企業レベルの大規模EC運用にも対応しやすくなっています。
[AI×コマース戦略の中核「Sidekick」の進化]
アップデートの中でも注目されているのが、AIアシスタント「Sidekick」の強化です。Sidekickは、商品登録・分析・マーケティング設定などの作業をAIが支援する機能で、
今回のアップデートにより、以下のような領域で実用性が飛躍的に向上しました。
・AIによる設定提案と自動反映
・マーケティング施策のA/Bテスト設計支援
・商品ページの自動生成や翻訳サポート
・ユーザーの行動をもとにした改善提案の自動通知
ShopifyはこのSidekickを、「ストア運営者の右腕となるAIパートナー」として育てており、今後のShopifyの進化の核になると見られています。
[継続的進化のビジョン:Shopifyは「止まらない」SaaSへ]
Shopifyはこれまでの「テンプレート型のカート」から脱却し、誰でも拡張でき、運営を支援するプラットフォーム型ECへ進化しています。
今後もShopifyは「年2回以上」の機能強化を定期実施し、
・AIとの連携
・ノーコードによる運用の自動化
・マルチチャネル戦略の加速
といったポイントを中心に、世界中の事業者に最適な環境を提供していく方針です。
Shopify構築完全ガイド|スキル・準備・設定方法を徹底解説!についてはこちらの記事もぜひご覧ください!
2. 各カテゴリ別アップデートの要点まとめ
今回のShopify 2025年春アップデートでは、150以上の機能追加・改善が、公式に12のカテゴリに分類されています。
ここでは、各カテゴリごとに注目すべきアップデートの要点を、現場目線で分かりやすく整理します。
2-1. テーマ:より柔軟な編集とOS2.0の進化
「だれでも扱いやすいUI設計に進化し、運用者のストレスが軽減」
・AIを使ってオリジナルのテーマブロックを構築、カスタムテンプレートを作成
・テーマエディタには多数の組み込み機能の改善
・テンプレートごとの再利用、複製が簡単に
・動的コンテンツの埋め込み対応が強化
・マルチテンプレート構成が可能になり、商品カテゴリごとのデザイン出し分けがしやすく
2-2. Sidekick:AIによるストア管理アシスタントの進化
「どこを改善すればいいか分からない運営者にとって、日常業務のAI補助が現実に」
・AIが行動履歴、売上、在庫情報をもとに、改善提案を自動通知
・Sidekickが20言語に対応
・商品説明文、広告コピーを自動生成
・Sidekickの画像生成、管理画面で直接、いくつかのキーワードを使用してビジュアルを生成
2-3. 小売(POS):店舗とECの一体運用がさらに簡単に
「店舗とECの融合が進み、オムニチャネル戦略がさらに実現しやすく」
・店舗在庫とEC在庫のリアルタイム連携が精度アップ
・店舗受け取り、店舗在庫からの発送指示などが柔軟に
・POS画面のカスタマイズ性が向上
2-4. チェックアウト:自由度とスピードが大幅向上
「CVRを重視する事業者にとって、チェックアウト体験を独自に最適化できる土台が整う」
・Shopify Functionsにより、チェックアウト中の価格調整、条件分岐が実装可能に
・分割発送の一定料金
・読み込み速度向上
・不正注文防止機能の強化、Shopify ペイメントのAIを搭載した不正注文モデルでチャージバックを削減し、リスクのある取引を自動で認証
2-5. グローバル:越境ECへの対応力アップ
「越境ECや多言語対応が初めてでも運用しやすくなり、世界展開が現実的に」
・マーケット別に価格、言語、在庫、税率の柔軟設定が可能に
・Shopify ペイメントがさらに16か国で利用可能に
・複数通貨での支払い
・為替レートの自動調整の仕組みが改善
・既存の地域マーケットからサブマーケットを作成
2-6. マーケティング:集客からCRMまでの統合機能強化
「Shopify内でのマーケティング自動化が進み、初心者でもCRM施策が打ちやすく進化」
・自動ディスカウント(購入条件別)ルールの細分化
・Shopify Emailの操作性、効果測定が強化
・Klaviyoなど外部ツールとの連携がより簡単に
・ShopifyQLセグメント編集機能がパワーアップ
2-7. Shopアプリ:リピート促進とファン化支援
「リピーター育成・ファン形成を強化したいブランドにとって、Shopアプリの活用価値が向上」
・アプリ内通知機能のカスタマイズ性UP(再入荷、セール通知など)
・Shopアプリでのレビュー、フォロー施策が強化
・モバイルUIの最適化
2-8. B2B機能:法人販売に特化した改善が多数
「B2B専用アプリを使わずに、Shopify上で本格的な法人対応が可能に」
・顧客ごとの価格、支払条件、発注ルールの個別設定が可能に
・請求書ベースの注文フローが標準化
・B2B専用チェックアウト機能が強化
2-9. 配送と在庫:物流最適化のための自動化強化
「出荷業務の効率化が進み、複数倉庫・海外配送にも柔軟に対応可能」
・複数の配送における転送追跡
・倉庫ごとの在庫優先順位設定
・梱包サイズや送料の自動計算ルールが拡張
・発送通知の多言語化
2-10. ストア運営全体:日々の業務をもっとスムーズに
「日々のストア運営が快適に。管理業務の時短にも直結」
・管理画面の検索、フィルタ機能が強化
・モバイルでのタッチ決済、ストアクレジットへの返金
・アクティビティログが見やすく
・Shopify Flow(Plus限定)のテンプレート追加で業務自動化が加速
2-11. 開発者向け:API・CLIの刷新とドキュメント強化
「開発者にとって、スピード感と柔軟性のある開発が可能に」
・より少ないコードで高品質なアプリを迅速かつ簡単に構築
・すべてのShopifyプランに対応した開発ストア
・再設計されたapp dev
・簡素化されたメタフィールドとメタオブジェクト設定
・ドキュメントやチュートリアルが改善され、新規開発のハードルが下がった
2-12. Shopify ドライブ(Shopify Drive):画像・ファイル管理の最適化
「コンテンツの多いストアにとって、バックオフィス業務の効率が飛躍的に改善」
・ファイル一括アップロード・タグ管理が可能に
・商品画像・PDF・動画の管理が効率化
・外部パートナーとの共有もしやすくなった
Shopify構築完全ガイド|スキル・準備・設定方法を徹底解説!についてはこちらの記事もぜひご覧ください!
3. 特に注目すべきアップデート【日本ユーザー必見】
150以上のアップデートが行われた中でも、日本の事業者に特に関連が深い変更点・新機能は限られています。ここでは、中小〜大手までの日本企業が注目すべきアップデートを、業種・運用フェーズ別に整理して紹介します。
注目カテゴリ①:チェックアウトのカスタマイズ
日本の商習慣に合った購入体験を提供するうえで、今回のチェックアウト自由度の強化は非常に重要です。
・ステップ形式UI → 離脱防止や導線の明確化に有効
・Functionsで条件付き割引や決済制御が可能に → キャンペーン設計の幅が広がる
・決済スピード改善(表示速度約30%向上)
消費者の離脱が多い日本国内のEC事情において、CVR向上を狙う企業は必見のアップデートです。
注目カテゴリ②:グローバル販売の柔軟性強化
越境ECを視野に入れる日本企業が増える中、マーケット別設定、言語管理、税制対応の進化は特に注目されています。
・日本語をベースに、他言語ページを容易に追加可能に
・現地通貨表示とローカルSEO最適化が簡単に
・輸入関税や配送費も国ごとに自動計算
国内D2Cブランドの「アジア圏展開」や「北米販売」への現実的な選択肢として価値が高まりました。
注目カテゴリ③:Shopアプリ連携とリピーター施策
モバイルからの購入が主流の日本市場において、Shopアプリの改善も見逃せません。
・モバイルUI最適化
・フォロー機能、通知連携 → 顧客への直接アプローチが可能に
・アプリ内からのリピート購入、レビュー導線の強化
LINEやInstagramと並ぶ、新しい「CRMチャネル」として注目が集まっています。
注目カテゴリ④:B2B販売機能の標準搭載
製造業や卸売、小売支援業など、法人取引の多い日本企業にとって、今回のB2B機能は大きな前進です。
・請求書ベースの注文、法人ごとの価格設定
・支払い条件の個別化、法人専用チェックアウト画面
・複数担当者での発注、承認も可能に
これまでアプリや外部システムで対応していたものが、Shopify単体で構築できる環境になりつつあります。
注目カテゴリ⑤:物流・配送まわりの自動化
・配送ルール(地域・金額・重量別)を柔軟に設定可能
・出荷元が複数ある企業向けに、倉庫ごとの優先順位設定
・自動追跡やメール通知の多言語化も強化
Amazonとの競争や、送料無料対応に悩む国内事業者の運用負荷を軽減するポイントです。
2025年のアップデートは、ただの機能追加ではありません。以下のような「事業の変化」にどう対応できるかが問われています。
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4. アップデートをどう活かす?導入判断のヒント
今回のShopify 2025年アップデートは魅力的な機能が多く、すべて試してみたくなるかもしれません。
しかし、本当に大切なのは「どのアップデートが自社に必要か?」を見極めて選ぶことです。
この章では、アップデート導入における考え方・判断基準を、フェーズ別・課題別に整理して解説します。
[フェーズ別:まず押さえるべき判断の視点]
初期構築中
→テーマ編集(2-1)、チェックアウト(2-4)、配送設定(2-9)
運用半年〜1年目
→マーケティング(2-6)、Shopアプリ活用(2-7)
売上拡大フェーズ
→B2B対応(2-8)、グローバル販売(2-5)、Functions活用(2-4)
複数チャネル展開中
→POS連携(2-3)、在庫管理(2-9)、Shopify Flow(2-10)
すべての機能を同時に導入する必要はありません。自社のフェーズに合った優先度で、段階的に取り入れることが成功の鍵です。
[課題別:導入の判断ポイント]
課題1:CVR(コンバージョン率)を上げたい
→ チェックアウト機能(2-4)の改善、AIアシスタント(2-2)の導入が有効
課題2:海外販売に対応したい
→ グローバル設定(2-5)と、通貨、翻訳、マーケットごとの設定を活用
課題3:物流・在庫の複雑化が進んでいる
→ 複数倉庫管理(2-9)、配送ルールの拡張、Shopify Flowによる自動化
課題4:法人向け取引・B2B機能が必要
→ B2B標準機能(2-8)+Shopify Functionsで発注ワークフローを構築
課題5:リピート率や顧客ロイヤルティを上げたい
→ Shopアプリの通知機能(2-7)と、メールマーケ(2-6)を組み合わせて活用
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5. まとめ
2025年春に発表されたShopifyの大規模アップデートは、テーマ編集・AI補助・B2B・グローバル・チェックアウトなど、ストア運営のあらゆる側面に影響を与える内容でした。
とはいえ、すべての機能を一度に使う必要はありません。「フェーズ」「課題」「目的」に応じて取捨選択することが、アップデートを活かすポイントです。
株式会社 rabo は、Shopify公式パートナーとして
テーマ制作・アプリ開発・B2B対応・越境EC支援まで、実務に即したShopify支援を提供しています。
・Shopify Functionsを活用してチェックアウトを改善したい
・海外向けストアやB2B機能を本格的に導入したい
・SidekickやFlowなどの自動化機能を活用したい
・自社にとって必要なアップデートだけを効率的に導入したい
どんなフェーズのご相談でも歓迎です。お気軽にご連絡ください!