AR広告やVR広告にはどんな効果が見込める?
現在コンピューターグラフィックスを活用した、「XR」と総称される技術が注目を集めています。XRの中でも代表的なのが、AR・VRの2つの技術です。
ARとVRについてはすでにある程度ご存知の方も多いと思います。この2つの技術は将来的に広告業界にも大きな影響を与えるでしょう。今回はAR・VRと広告の関係性について知りたい方向けに、概要やAR広告・VR広告についてご紹介していきます
1.ARとは?
ARとは「Argument Reality(拡張現実)」の略で、詳しく訳すと「コンピューター処理により現実に情報を追加して新たな価値を生み出す技術」となります。
ARはVRより早い時期から普及してきた技術であり、
・位置情報を基にキャラクターを出現させてバトルをしたりする
・顔の一部にスタンプを追加して面白く見せる
・バーチャル映像の家具を自宅に設置して寸法を確かめる
といった技術が各種スマホアプリにも活用されています。特に「ポケモンGO」は世界中で人気になったので、ARの認知度向上に大きな影響を与えているでしょう。
ちなみに「Microsoft」では、「MR」というARをさらに高度にしたような技術を提唱しています。MRでは現実世界とVRの融合が深まり、たとえばVRで表示された同僚といっしょに仕事をするといったことも可能です。
2.VRとは?
VRとは「Vertial Reality(仮想現実)」のことで、分かりやすく説明すると「コンピューター処理によって作られた映像を現実世界と置き換え、新たな価値を生み出す技術」となります。VRはゾンビゲームといったゲームコンテンツで大きな注目を浴びてきましたが、近年ではビジネスでの利用も増えています。
たとえば現在はコロナウイルスの影響でコミュニケーションが取りにくい状況ですが、「クラスター(Cluster )」というVRサービスを使えば仮想現実で自分のアバターを使いながら仕事仲間とコミュニケーションが取れます。「Zoom」といったWeb会議ツールと異なり、自分の身振り手振りといった細かい動きも反映させながらコミュニケーションが取りやすいことなどがメリットです。
ちなみにVRを進化させたような「SR(代替現実)」という技術も登場しています。SRでは映像だけでなく視覚や聴覚といった五感も丸ごと疑似的に再現するようになることで、仮想現実への没入感がより高まるとされています。
3.AR広告・VR広告にはどんなメリットがある?
現在ARやVRを活用した、AR広告・VR広告の実験が進んでいます。AR広告やVR広告が実現すると次のようなメリットを得られるでしょう。
疑似的に商品やサービスの体験ができる
インターネットの普及により、ユーザーのデータを収集しながら一人一人に合った広告を配信できるようになりました。しかしそれでも、コンバージョンにおいて壁となる要素はいくつもあります。
たとえばECサイトでは商品をその場で触って確かめることはできません。近頃は実店舗で商品を確認してECサイトで購入する「ショールーミング」が増えていますが、実店舗に出向く手間が掛かりますし商品が置いていない可能性もあります。その場でECサイトの商品を確認できるようになれば、顧客体験は向上するでしょう。
AR広告やVR広告を使えば、広告でアピールした商品をコンピューターグラフィックスで再現してその場で確かめられます。360度回転させながらの確認が可能なので、じっくり自分に合った商品か考えられるのがポイントです。
また化粧品であれば「その場で自分の顔に疑似的なメイクを行い、メイク後の結果を確認する」といったことも可能で、コンバージョン増加に大きく貢献するでしょう。
またECサイトに限らず、観光系のサービスでもAR広告やVR広告は役立ちます。ARやVRでダイナミックにどんな観光体験ができるか確認できるようになれば、観光へのモチベーションを高めることもできるかもしれません。
長時間の視聴が期待できる
動画は文字より視認性が高く、直感的に内容を理解して視聴ができます。そしてARやVRを使った広告も同じように視認性の高いコンテンツであり、ユーザーへ直感的に内容を理解してもらいながらアピールができるのがメリットです。
さらにAR広告やVR広告は立体的に内容を表示してアピールができるので、ユーザーの目を引きつけて長時間の視聴が期待できるのも特徴となっています。
たとえばSNS大手の「Snapchat」は、360度動画広告を導入しました。スマホの動きに合わせて視聴できる映像が変化する楽しい動画となっており、平均視聴時間が約2分と高い成果を残しています。
長時間どう広告を見てもらうかは、広告業界の大きな課題となっています。長時間視聴されやすいAR広告やVR広告を導入すれば、課題を解決して訴求がしやすくなるかもしれません。
今までにない広告表現が可能
AR広告やVR広告は、まったく新しい広告体験をユーザーに提供できる手段として優秀です。今の内に広告表現について勉強しておけば、将来的に演出面で役立つ可能性があります。
たとえば
・ARでキャラクターを出現させて、商品やサービスの紹介をしてもらう
・会社の成り立ちや事業内容について、社員になったつもりでVR体験してもらう
・実際にVRの自動車に乗車して、ドライブを楽しんでもらう
といった種類のAR広告・VR広告が考えらえます。
その場で疑似的に商品やサービスの体験ができるメリットを活かして、演出を工夫した広告を作れるようになってみてください。
4.AR広告・VR広告の注意点は?
AR広告やVR広告には、次のような注意点もあります。
プライバシー侵害にならないように個人情報を扱う必要がある
AR広告やVR広告では、次のような情報を取得可能です。
・ユーザーが広告のどの部分を見ていたか
・広告を見たときどんな表情をしていたか
・広告をどこで視聴したか
これらのデータは分析の際役立ちますが、使い方を間違えるとプライバシー侵害になり企業の信頼低下にもつながる恐れがあります。
新しい広告手法なだけに、どんな個人情報が取得できてしまうかには細心の注意を図りましょう。そして加工するといった方法でプライバシーが流出しないように工夫するのも重要です。
ハードウェアやソフトウェアの普及が必須
AR広告やVR広告の普及には、ハードウェアと通信設備が深くかかわってきます。AR広告やVR広告をスムーズにどこでも見られるようにするには、
・スマホをかざさなくてもリアルタイムで映像を視聴できる環境を実現させる必要がある
・安定した膨大なデータを扱える通信技術を用意する必要がある
といった課題もあります。特に処理データが大きいVR広告の普及には、ハードウェアと通信技術が従来よりもさらに進化しないと厳しいでしょう。
ハードウェア面ではARやVRゴーグルが普及したりすれば、今までよりAR広告やVR広告のタッチポイントを増やせます。また通信設備については、現在新世代の「5G」の普及が始まっています。完全なスペックを発揮するにはもう少し時間が掛かるでしょうが、5Gが本格的に実現すればAR広告やVR広告が一気に増加する可能性もあるでしょう。
5.まとめ
今回はARとVR、そしてそれらを活用した広告について解説してきました。
ARやVRといったコンピューター処理技術により、広告業界も大きく変革する可能性があります。商品やサービスを疑似的に体験してもらえる環境を構築することで、今まで以上に動画コンテンツの視聴時間を伸ばしたりコンバージョンを増加させたりといった効果を見込めるようになるでしょう。
ぜひ今の内にARやVR広告に詳しくなって、ライバルに差を付けてみてください。