最近話題のITPって何なの?
ITP規制とはなんなのか?。どういう変更で、広告にどういう影響があるのか?インターネットで情報を検索するのが当たり前になった今、個人情報に対する方針が見直されています。
IT企業ではAppleが、個人情報保護に関して積極的な姿勢を公表しています。代表的なのが、「ITP(Intelligent Tracking Prevention)」の開発と実装です。広告業界の方は、ITPについて詳しく理解しておかないと広告効果が大きく薄れてしまう危険性もあります。
今回はITPとは何か、そして仕様の変遷や具体的にどういった影響が広告配信において出てくるのかなどを解説していきます。ITPを理解して、しっかり広告配信時に対応できるようになっておきたい」という方はぜひご覧ください。
1.ITPとは?
「ITP」とは、主にサイトの後追い行為(トラッキング)を制限するための技術です。Appleが自社Webブラウザー「Safari」向けに開発しました。
従来広告配信企業は、Webサイト上に保存した「Cookie」を利用してユーザーの情報を取得していました。そしてその情報をもとに、ユーザーに合わせた適切な広告を表示するようにしていました。
しかし匿名とはいえ、Web閲覧履歴などを他人に見られるのをよく思わない方はたくさんいらっしゃいます。そしてEUでは「GDPR」でインターネット上の個人情報を許可なく利用する行為を禁止するなど、国家レベルでもインターネット上の個人情報保護対策が進んでいます。
Appleもそんな時代の流れに乗るように、ITPを開発してSafariに搭載しました。
2.そもそもCookieとは?
Cookieとはwebブラウザにデータを保存する仕組み
ここで知識があいまいな方や知らない方向けに、
Cookieについて簡単に説明していきます。
CookieとはWebブラウザにデータを保存する仕組みのことです。
- アカウントに関する情報
- ECサイトの商品情報
- Webサイトの閲覧履歴
など多岐にわたるデータが保存されます。
これによって、一度サイトを離れてしまったユーザーがまた訪れた際、毎回IDを打ち込まずにスムーズにログインができたり、またECサイトでは商品をカートに入れ直したりする必要がなくなり、スムーズに買い物を行うことができるなどといった利点があります。
Cookieには主に2種類の保存形式があります。
- ファーストパーティーCookie・・・Webサイトから送信されて保存される
- サードパーティーCookie・・・広告から送信されて保存される
この内広告業界で頻繁に使われてきたのは、「サードパーティーCookie」です。
サードパーティーCookieは、ファーストパーティーCookieとは違ってドメインを超えて取得可能です。つまり複数のWebサイトで広告を利用してユーザー情報を取得し、そのユーザーに合わせた広告配信が簡単にできるということです。
ITPはCookieに関する制限を強化する技術
Cookieは保存できるデータを自由にカスタマイズできるなどの利点から、多くの企業が使ってきました。同時に知らない内に自分の個人情報を知っているかのような広告が連続で表示され、気味悪く思う方も増えていきました。
ITPは、主に従来トラッキング手法として利用されてきたCookieに関する制限を強化する技術として登場しました。そしてサードパーティーCookieだけでなく、最近ではファーストパーティーCookieにも対象を広げています。
3.ITPはどう変更されたのか?
ここからはITPのバージョン変遷と、それぞれどのような規制が具体的に行われるようになったのかを解説していきます。
ITP1.0
まずは2017年9月に、「ITP1.0」が発表されました。ITP1.0では、サードパーティーCookieが24時間以上アクセスされていない場合自動的に利用できなくなる仕組みになっていました。つまり24時間経過後は、広告のリタゲーティングなどが行えなくなってしまいました。ちなみに2018年3月には、マイナーアップデートの「ITP1.1」が公開されています。
ITP2.0
2018年6月には、「ITP2.0」が発表されています。ITP2.0では、24時間という時間の猶予がなくなり、即時サードパーティーCookieが使えなくなりました。これによりサードパーティーCookieでは、ユーザーをトラッキングして適切な広告を表示するのが難しくなりました。
ITP2.1
2019年3月には、ITP2.0をさらに強化した「ITP2.1」が公開されました。ITP2.1では、今まで規制を特に影響を受けていなかったファーストパーティーCookieも対象になりました。具体的には、保存されたファーストパーティーCookieは7日後に削除されるようになってしまいました。ITP2.0以前はサードパーティーCookieをファーストパーティーCookieとして再保存し、影響を免れようとする動きもありましたが、その動きも強く制限されるようになった形です。
ITP2.2
ITP2.1公開のわずか1か月後には、「ITP2.2」が発表されています。ITP2.2では制限がさらに厳しくなり、「URLパラメータ(URLの末尾に情報を追加して他コンテンツに受け渡す技術)」などを使っていると認識されたファーストパーティーCookieの削除期間が、24時間後に変更されました。保存条件が厳しくなったことで、ファーストパーティーCookieを活用したトラッキング手法がさらに困難になる結果につながりました。
ITP2.3
2019年9月には、2019年11時点で最新版である「ITP2.3」がリリースされました。
ITP2.3では、「ローカルストレージ」も削除の対象になりました。
- ローカルストレージとは
簡単に説明すればCookieに代わる新しいトラッキング手法。
Cookieをはるかに超えるデータ保存量を持つ、保存の有効期限が特にない
などCookieの上位互換として十分な機能を持っていた。
ローカルストレージは特に今まで規制対象になっていなかったので、Cookieではなくローカルストレージに切り替えてトラッキングを行おうとする業者もいました。
しかしITP2.3では、「トラッキングを行っていると思わしきドメインから対象のLPに流入する」など特定の条件下において、ローカルストレージデータをすぐ削除するように変更しました。これによりローカルストレージ経由でトラッキングを行う行為も厳しく制限されるようになってしまいました。
ITPバージョンアップから見えるのは、「とにかくWebサイトを使ってトラッキング行為を行うのは許さない」というAppleの強い姿勢です。実際サードパーティーCookieだけでなくファーストパーティーCookie、さらには代替技術として有望視されていたローカルストレージまで規制対象になっています。
今後も問答無用でローカルストレージのデータを削除するなど、トラッキング行為が撲滅されるようなバージョンアップをAppleが行う可能性もあります。
4.どういう影響があるのか?
ITPで影響を受けるのは、Safariを使って広告配信を行っている場合です。パソコンだけで見るとWebブラウザーシェアは「Google Chrome」や「Fire Fox」などが上位を占めており、比較するとSafariのシェアはそこまで大きくありません。
また「Android」端末でもSafariを使うユーザーはそこまで多くないので、影響は小さいと言えます。
ただしiPhoneユーザーはデフォルトのWebブラウザーとして用意されているSafariを使う傾向があり、また日本ではiPhoneユーザーが特に多いという特徴もあります。
ですから特に日本中心に、スマホユーザーを対象にしたWeb広告配信を行っている企業は
- Cookieやローカルストレージを用いたデータ取得が至難になる
- 細かい広告の効果測定が困難になる
といったITPの影響を大きく受けることになります。
対策を行わないと広告効果が一気に薄くなってしまう可能性があるのです。
対策としては
ではいったいどのような対策を行うときちんと広告効果を得られるのでしょうか。
たとえば「CNAME」を使ったトラッキング手法が編み出されています。CNAMEでは計測対象のドメインに別のドメインを紐づけることで、Cookieやローカルストレージなどを使わないでプライバシーに配慮して効果計測が可能です。
広告を配信したい企業が、直接ITP対策を行うのは将来的に考えても難しい面があります。広告配信ツールを活用すれば、勝手にITPに対応してくれるので無駄な時間をかけなくて済みます。
ただし今後タグ変更など指定の作業を行わないといけないかもしれないので、ツールを使っている場合は最新のアップデート情報をチェックしましょう。
5.まとめ
今回はITPとは何か、そしてバージョンの変遷や受ける影響などについて解説してきました。
ITPにより、Safariを経由した効率的な広告配信がどんどん難しくなっています。将来的には、Cookieが実質廃止されるような事態になるのも否定できません。今までCookieに頼っていた企業は、他の手法を使ってトラッキングを行う手法に方針転換しておかないと命取りになりかねません。
ぜひITPを正しく知り、最新情報をチェックしながら適切な対策を行ってください。