Google Cloud Next ’22で発表!Google Cloud Workstationsを解説

手元の機器へ開発環境を置くと、データ消失や構築の手間などでデメリットが出てきます。そこでデメリットを解消するためにクラウド環境上に開発環境を構築・IDEやWebブラウザーなどで接続して利用できるサービスが登場してきています。

Googleが公式提供を決定した「Google Cloud Workstations」もその1つです。Google Cloud Workstationsによってテレワークでもシステム開発が簡単になり、生産性向上などを狙えます。

今回はGoogle Cloud Workstationsの概要や利用メリットなどを解説していきます。

1.Google Cloud Workstationsとは?安全な開発環境

Google Cloud WorkstationsはGoogle主催のイベント、「Google Cloud Next ’22」で発表された新サービスです。すでに設定された開発環境を、セキュアな状態で提供するとしています。

ローカルへ開発環境を置こうとすると、まずその環境構築自体に時間が掛かります。開発環境を設置するサーバーの選定や基本ソフトウェアの設定だけでもかなりの負担になるのがネックです。

Google Cloud Workstationsはクラウドサービスとしてカスタマイズ可能な開発環境を、コンテナとして開発者へ提供します。Google Cloud Workstationsについては一度契約して利用準備を完了すれば、すぐIDEやWebブラウザーなどからアクセスして利用できるようになっています。これによってサーバー選定や基本ソフトウェアの設定などを担当者が行う必要がなくなり、開発効率向上などが狙えるでしょう。

対応IDEは

  • CODE-OSS
  • Vim
  • IntelliJ IDEA

などとなっています。

上記の対応IDEやWebブラウザー等を使って開発を行っている、あるいは開発を検討している方には、Google Cloud Workstationsの活用がおすすめです。

2.Google Cloud Workstationsのメリット!

Google Cloud Workstationsには、次のようなメリットがあります。

契約から利用開始までがスピーディー

Google Cloud Workstationsでは、あらかじめツールやライブラリなど必要なリソースを指定しておきます。そうすれば契約してからすぐに利用開始してシステム構築へ集中できるのがメリットです。

前準備に手間取っていてはスムーズな開発はできません。Google Cloud Workstationsを使えば前準備を最低限にして、本来時間を使うべき開発作業へじっくり取り掛かれるのがポイントになってきます。

データ消失の心配がなく場所を選ばずに利用できる

Google Cloud Workstationsはクラウド環境です。オンプレミスでは対応するのが面倒なデータ消失についても心配する必要はありません。ローカル環境に重きを置かないので、操作する際は気軽に使えます。

またIDEあるいはWebブラウザーといった操作ツールがあれば、どんな環境からも利用可能です。近年では新型コロナウイルスの影響でテレワークの頻度が上がりましたが、開発環境をどうやって共有すればよいのかが同時に問題となっていました。Google Cloud Workstationsによってクラウド上で開発環境が共有されるので、社内でも社外でもメンバーが開発環境を共有して作業が可能になります。

クラウドタイプなのでセキュリティ更新が自動で行われる

ローカル環境だとクラウド環境より一見セキュリティ性は高いように感じるかもしれません。しかし実際には

  • ローカルへソースコードが保存される
  • セキュリティコントロールを行いにくい
  • セキュリティパッチ更新が面倒

といったさまざまな問題とローカル環境は隣り合わせです。

Google Cloud Workstationsでは

  • ローカルマシンへソースコードが保存されない
  • Google CloudのVPCなどでセキュリティコントロールを行える
  • 最新のセキュリティパッチが自動で適用される

といったメリットによって、セキュリティが確保されます。

技術の進化によって、クラウドのセキュリティ問題は解消されつつあるのもポイントです。Google Cloud Workstationsによる開発環境クラウド化で生産効率を上げることが、セキュリティ向上にもつながるでしょう。

リモートデバッグやリソースの可視化などにも対応

Google Cloud Workstationsは多機能です。

たとえばIDE用のプラグインである「Cloud Code」の利用によって、

  • リモートデバッグ
  • モニタリング
  • リソースの可視化

などが可能になっています。

また「Source Protect」の活用によってIDE上で脆弱性・ライセンスの情報などを参照してセキュリティ問題をチェックできるようになっているのもポイントです。

3.Google Cloud Workstations以外の発表内容は?Google Cloud Next ’22を総括

Google Cloud Workstationsが発表されたGoogle Cloud Next ’22では、他にもさまざまなサービス発表等が行われました。ここからはその内容を簡単に解説していきます。

AIを活用した新サービス

AI活用に関する従業員のスキルギャップを埋めるため、GoogleではいくつかのAIサービスをローンチしました。

たとえば「Translation Hub」は、複数のフォーマット文章をレイアウト維持しながら自動翻訳できるサービスです。従来は「Translation API」で開発者がプログラムを組まないと利用できなかった自動翻訳が、誰でも簡単に使えるようになっています。

また「Vertex AI Vision」は、これまで開発手順が複雑だった画像・動画解析に関するアプリケーションを、グラフィックを用いた管理画面から直感的に開発できるようになるサービスです。

上記のようなAIサービスが提供されることにより、AI活用が推進されることをGoogleは目標として掲げています。

BigQueryのサービス拡張

ビッグデータを活用するためのプラットフォーム、「BigQuery」にもアップデートが入りました。

たとえば今まで対応していなかった非構造データにも対応できるようになりました。また分析ユースケースを拡張する「Spark in BigQuery」が登場しています。Spark in BigQueryによってクレンジングへのSpark利用といった作業が、BigQuery上ですべて済むようになりました。

Migration Center

クラウド移行に使える「Migration Center」も発表されました。

  • データに基づいた構成の提案
  • コンテナ・サーバーレスへの移行計画の立案

などが可能になるとしています。

Migration Centerによって既存環境を簡単にクラウド環境へ移行できるようになりました。

4.まとめ

今回はGoogle Cloud Workstationsの概要やメリットなどを解説してきました。

Google Cloud Workstationsによってクラウドへの開発環境移行がより有力な選択肢となるでしょう。セキュリティも高く自動更新され、機能拡張も簡単なGoogle Cloud Workstationsはセキュリティ強化や開発効率性上昇などへ貢献します。

他にもGoogle Cloud関連でさまざまなアップデートがあったので、ぜひチェックしてみてください。