「カゴ落ち率を少しでも下げたい…」――そんなEC担当者に朗報です。2025年夏の大型アップデート 「Shopify Editions Summer ’25」 で、チェックアウトが 速く・簡単・自在にカスタマイズ可能 になりました。本記事では、One-Page Checkout 2.0 や Smart Checkout Rules など 売上を底上げする6つの新機能 と、導入前に必ず押さえたい互換性チェックリストをやさしく解説。最新チェックアウトの全貌をつかみ、利益アップの一歩を踏み出しましょう。
- 目次
- 1.Shopify Editions Summer ’25 概要とチェックアウト領域の全体像
- - 1-1. Horizonsとは何か
- - 1-2. Checkoutカテゴリーの全体像
- 2.注目機能まとめ
- - 2-1.注目機能①フラットレート分割配送
- - 2-2.注目機能②チェックアウト読み込み速度
- - 2-3.注目機能③在庫切れ時の配送先変更オプション
- - 2-4.注目機能④AI 強化型・不正注文ブロック
- - 2-5.注目機能⑤Apple Pay対応範囲拡大&カスタムCheckout併用
- - 2-6.注目機能⑥USDC決済 in Shopify Payments
- 3.誰にメリット?|Plus 大規模店・中小 DTC・B2B それぞれの活用ポイント
- - 3-1.企業規模別活用ポイント
- - 3-2.導入ステップ別ヒント
- 4.導入前チェックリスト|互換性・アプリ影響・法規制確認など
- 5.まとめ
1.Shopify Editions Summer ’25 概要とチェックアウト領域の全体像
この章では、「Horizons」が提示する売上直結の会計体験というビジョンを軸に、アップデート全体の位置づけ、チェックアウト領域で広がる拡張の全体像、などをご紹介します。これを押さえれば、以降の詳細機能や導入手順がクリアに見えてくるはずです。
1-1. Horizonsとは何か
Shopify Editionは半年ごとに発表される大型アップデート群で、2025年夏版のコードネームは Horizons。テーマ・AI・B2B・POS・Checkoutなど 150以上の機能改善 が一挙にリリースされました
今回のキーワードは「デザインの自由度 × AIによる生産性向上 × 統合されたチェックアウト体験」。特にテーマブロックのAI生成や10種の新無料テーマなど、ストアフロントのビジュアル刷新が目を引きますが、実店舗/オンラインを横断する会計まわりのアップデートが売上直結インパクトとして注目されています。
1-2. Checkoutカテゴリーの全体像
[checkoutにおいて強化された領域]
・割引、プロモ
・支払い、返金
・草案見積もり
・顧客獲得
・国際、会計
・送料
[なぜcheckoutが重要なのか]
「転換率の天井を押し上げる」
➡︎会計画面で 「クーポンがひとつしか使えない」「返金されたお金が次の買い物に使えない」 となると、お客さまはそこで購入をやめてしまいがちです。Summer ’25 では、クーポンをいくつも組み合わせたり、返品した代金をストア内のポイント(ストアクレジット)としてすぐに使えたりします。これだけで
・買い物単価(平均注文額)が上がる
・返品しても再購入につながる
という二重の効果が期待できます。
「開発と運用コストの最適化」
➡︎新しい「Checkout Extensibility」という仕組みでは、チェックアウト部分が専用の安全な箱(サンドボックス)に入ります。そのおかげで、
・他社アプリのスクリプトがぶつかって画面が壊れる
・セキュリティ事故が起きる
といったリスクがぐっと下がります。
また、見た目はドラッグ&ドロップで、複雑な計算はコード(Functions)でと役割を分けられるため、改修コストも最小限に抑えられます。
「グローバル&オムニチャネル対応」
➡︎大企業や多国展開のブランドは「国ごとに法人や通貨がバラバラ」「店舗とネットで会計が別」という悩みを抱えがちです。Summer ’25 からは、ひとつのストアで複数法人・複数通貨を自動で切り替えでき、POS(実店舗レジ)とも同じ仕組みを共有できます。
結果として、
・経理処理が一本化されて管理がラク
・オンラインと店舗の顧客データが同じ場所に集まる
というメリットが生まれます。
Shopify構築完全ガイド|スキル・準備・設定方法を徹底解説!についてはこちらの記事もぜひご覧ください!
2.注目機能まとめ
2-1.注目機能①フラットレート分割配送
複数ロケーションから発送しても、購入者には一律の送料を提示できます。
これにより「カート最後で送料が跳ね上がり離脱」問題を解消し、CVR 向上&サポート問い合わせ削減 が期待できます。設定は配送プロフィールで Flat rate for split shippingを有効化するだけ。
[ポイント]
マルチロケーション在庫を使っている越境ストアは必須。現地倉庫/店舗→顧客への最適ルートを Shopify が自動計算しながら、課金は常に固定額で統一されます。
2-2.注目機能②チェックアウト読み込み速度
Summer ’25 ではフォーム初期表示までの平均ロード時間が約2秒短縮。データ入力前での離脱が大きく削減されるほか、Shop Pay Express 表示も速くなるため モバイル購入の体感が大幅改善します。
[技術メモ]
Checkout Extensibility(UI Extension)利用ストアは自動適用。外部スクリプトを埋め込んでいる場合でも、サンドボックス化により遅延影響が最小化されています。
2-3.注目機能③在庫切れ時の配送先変更オプション
デフォルト住所で在庫がない場合でも、購入者は 別住所への切替えや店頭受取をその場で選択可能に。これまでは「カートに戻る→再入力」のフローが必要でしたが、ワンステップで再計算されるため欠品時の取りこぼしを防止できます。
2-4.注目機能④AI 強化型・不正注文ブロック
Shopify PaymentsにAIフラウドモデルが追加され、高リスク取引を自動認証。チャージバック削減と同時に、正当な購入はワンクリックで通過させるため コンバージョンを犠牲にしないセキュリティ を実現します。
[導入]
高リスク判定トリガーを Shopify Flow と連携し、VIP 顧客は強制購入許可など柔軟にコントロール可能。
2-5.注目機能⑤Apple Pay対応範囲拡大&カスタムCheckout併用
自前でUIをカスタマイズしているストアでも、新APIにより Apple Pay ボタンをネイティブ表示できるようになりました。またサブスク決済向けApple Payも各国で順次解禁中。ワンタップ決済を広範囲に敷きつめ、モバイル離脱を最小化。
2-6.注目機能⑥USDC決済 in Shopify Payments
Shopify PaymentsがBaseチェーンのUSDCを正式サポート。数百種類のウォレットで即時決済でき、為替リスクなしにグローバル暗号資産ユーザー を取り込めます。フィアット換金は自動で行われるため、会計処理も通常売上と同一フロー。
注意点:暗号資産を直接保有したくない場合は自動換金設定をオン。
Shopify構築完全ガイド|スキル・準備・設定方法を徹底解説!についてはこちらの記事もぜひご覧ください!
3.誰にメリット?|Plus 大規模店・中小 DTC・B2B それぞれの活用ポイント
3-1.企業規模別活用ポイント
[Shopify Plus/グローバル大規模店]
①マルチエンティティ決済
多数の国や法人をまたいで商売していると、売上が通貨ごとにバラけたり、送金手数料がかさんだりします。
新しい「マルチエンティティ決済」を使えば、1つのオンラインストアのまま国ごとに会社や通貨を自動で切り替え、現地通貨のまま入金できます。余計な銀行手数料がかかりません。
②スタッカブル割引
ブラックフライデーなどの大セールでは「●円以上で10%OFF」「VIPはさらに5%OFF」「送料無料」といった複数の割引が混在しがちです。今はそれを1回の会計で全部まとめて適用できるので、キャンペーンがシンプルに管理できます。
③USDC決済
「USDC」という米ドルと同じ価値を持つデジタル通貨も受け取れるようになり、為替変動を気にせず即時決済が可能になりました。
[中小 DTC/新興ブランド]
スタッフが少ないお店でも、今回のアップデートでリピート客を増やしやすくなります。
①SMS オプトイン in Checkout
決済画面に 「SMSを受け取る」ボタン が付き、ワンタップで許可をもらえるので、あとからクーポンや発送連絡を自動で送れます。
②ストアクレジット返金
返品が発生したときは、現金で返さず お店専用のポイント(ストアクレジット) として戻せるため、そのまま再購入してもらいやすくなります。
③フラットレート分割配送
倉庫や店舗が複数あっても、お客さまには送料を一律表示できるので「最後の画面で送料が高いからやめた」という離脱を防げます。
[B2B/卸売 & ハイブリッド]
①ドラフト注文永続ディスカウント
見積もり後に価格が変わるとトラブルの元ですが、新機能ではドラフト(見積もり)段階の割引をそのまま確定注文に引き継げるため、金額ブレがなくなります。
②Store Creditを返金ではなく次回仕入枠として発行—掛売りモデルでも資金流出を抑止。
返品や値引き分を次回の仕入れ枠として付与できるので、掛け払いでも資金が外に流れにくくなります。
③マルチエンティティ+USDC決済
海外の取引先が多い場合は、前述のマルチエンティティ決済と USDC 受け取りを組み合わせることで、国ごとの法人会計とデジタル通貨送金を1つのストアでまとめて処理できます。
3-2.導入ステップ別ヒント
1.現行チェックアウトの棚卸し
・checkout.liquid カスタムが残っていれば 2025/08までにUI Extensionへ移行。
2.KPI 優先度の明確化
・CVR 先行:SMS オプトイン、スタッカブル割引、読み込み速度改善。
・運営コスト削減:マルチエンティティ、フラットレート配送、USDC 自動換金。
3.自動化ワークフローを併用
・Shopify Flow で「返品 → ストアクレジット付与」「USDC 決済完了 → Slack 通知」などをテンプレ化すると、小規模チームでもエンタープライズ水準の運用が可能。
Shopify構築完全ガイド|スキル・準備・設定方法を徹底解説!についてはこちらの記事もぜひご覧ください!
4.導入前チェックリスト|互換性・アプリ影響・法規制確認など
1. チェックアウトの土台を最新化
➡︎checkout.liquid や Shopify Scripts が残っていないか。迷ったら「管理画面 › Checkout › Upgrade」で確認。
2. 主要アプリの対応状況を確認
➡︎決済・配送・割引まわりのアプリが UI Extension 対応か。「まだ」のものはサポートに連絡。
3.決済/配送設定を再チェック
➡︎マルチエンティティ・USDC・フラット送料 ON/OFF。触ったら必ずテスト注文。想定外送料に注意。
4. リスク自動処理を整える
➡︎Flow の「Order risk analyzed」トリガーを利用。高リスクでも VIP は自動通過など、例外ルールを先に決める。
5. 法規制まわりをひとまとめで確認
➡︎VAT 番号・TCPA/GDPR の文言・暗号資産規制。迷ったら法務/税理士にスクショ共有して一括確認。
6. テストとバックアップ
➡︎テストモードで全フローを一周。設定エクスポート&テーマコピー。本番投入前日に戻せる状態を必ず残す。
Shopify構築完全ガイド|スキル・準備・設定方法を徹底解説!についてはこちらの記事もぜひご覧ください!
5.まとめ
Shopify Editions Summer ’25 Horizonsは、チェックアウト周りを抜本的に強化し、売上・顧客体験・運営効率を同時に押し上げるアップデートです。移行はまず旧 checkout.liquid や Shopify Scripts を Extensibility と Functions へ置き換え、スタッカブル割引とストアクレジットを試験導入し、最後に Flow で不正注文判定と法務テキストを自動化する、という3段階で進めるのが最短コースです。効果の大きい機能から順に導入していくことが成功の鍵となります。
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