- 目次
- 1. Shopify Editions Summer ’25 とは?
- - 1-1. なぜ「グローバル」カテゴリが今期の目玉なのか
- 2. グローバル対応アップデート注目機能
- - 2-1.Shopify Payments 拡大と多通貨ペイアウト
- - 2-2.複数法人ストア運営
- - 2-3.Dutiesと税金の透明化
- - 2-4.DDP ラベルとHSコード自動分類
- - 2-5.Shopify Markets アップグレード
- - 2-6.ローカル決済とコンプライアンス強化
- 3. セグメント別メリットと実務実例
- - 3-1. Shopify Plus/多国籍ブランド
- - 3-2. 越境 DTC
- - 3-3. B2B・卸売&ハイブリッドストア
- 4. 導入優先度チャートと段階別ロードマップ
- - 4-1. Step 0:現状棚卸し(Markets 設定・通貨・税制)
- - 4-2. Step 1:リスク低&効果大(為替更新・翻訳 AI・送料一律)
- - 4-3. Step 2:基盤刷新(マルチエンティティ・USDC 決済)
- - 4-4. Step 3:自動化・最適化(Flow/レポート/タックスエンジン)
- 5. まとめ
Shopify は 2025 年夏の「Editions」で、グローバル販売に欠かせない機能を一気に強化しました。マルチエンティティ決済や Markets 2.0の自動為替、AI多言語翻訳、USDC決済、最新タックスエンジンなど、越境 EC の壁を取り払うアップデートが目白押しです。本記事では、それらの新機能を分かりやすく整理し、導入の優先順位と活用ポイントをスピーディーに解説します。
1. Shopify Editions Summer ’25 とは?
Shopifyが半年ごとに公開する大型アップデート「Editions」の2025年夏版コードネーム Horizons が、公開されました。150以上の新機能が10以上のカテゴリに整理され、管理画面から誰でも無料で試せるのが最大の特徴です。
1-1. なぜ「グローバル」カテゴリが今期の目玉なのか
Summer ’25では、とくに越境ECの痛点を解消するアップデートが集中しました。主な理由は次の3つです。
[多通貨・多法人ニーズの爆発的増加]
・Shopify Plus を利用する多国籍ブランドが増え、「1ストアで複数法人をさばきたい」という要望が急増。
➡︎マルチエンティティ決済が登場し、1つのストアで国別の銀行口座・決済アカウントを紐付けられるように。
[為替変動とローカル競争への対応]
・為替の急変動で 「現地価格が高すぎる/安すぎる」 問題が顕在化。
➡︎Shopify Markets 2.0が発表され、サブマーケット作成やローカル価格の一括最適化が可能に。
[決済・配送・税務の最後の壁を突破]
・USDC(ステーブルコイン)を Shopify Payments で正式サポートし、為替リスクゼロの暗号通貨決済を実現。
・倉庫が分散していても送料を1本化できる 「フラットレート分割配送」 をチェックアウトで自動計算。
・Shopify TaxがVAT/GSTの番号検証と逆課税を自動化し、EU/UK/US 複数税制を一元管理。
これらの機能は、「現地法人・現地通貨・現地税制」 をワンクリックでハンドリングできるレベルまでプラットフォームを引き上げ、スタートアップからエンタープライズまで世界同時販売を現実的な選択肢にしました。
Shopify構築完全ガイド|スキル・準備・設定方法を徹底解説!についてはこちらの記事もぜひご覧ください!
2. グローバル対応アップデート注目機能
越境ECの壁を一気に乗り越える切り札が、2025年夏に発表されたShopifyのグローバル対応アップデート。多通貨ペイアウトや複数法人ストア運営、関税・税金の自動計算といった新機能が連動し、「売る国が増えるほど運営がラクになる」 というパラダイムシフトを実現しました。本章では、越境ビジネスの現場で即戦力になる注目機能を6つに絞り、その活用ポイントと導入効果を具体的に解説していきます。
2-1.Shopify Payments 拡大と多通貨ペイアウト
2025年夏のアップデートで、Shopify Paymentsがメキシコを含む欧州16か国へ新たに拡大し、「多通貨ペイアウト」が正式リリースされました。これにより、売上通貨と同じ通貨で銀行口座へ着金できるため、為替手数料を抑えつつキャッシュフローを一本化できます。銀行口座の追加は管理画面から数クリックで完了し、レポートも通貨別に自動集計されます。導入のハードルが高かった欧州マルチストア運営は、実質的にこの機能だけで解決できるようになりました。
2-2.複数法人ストア運営
「1ストア=1法人」の制約が緩和され、複数のリーガルエンティティを単一ストアに紐づけられるようになりました。国ごとに異なる請求書発行元や決済口座を設定でき、運営コストを大幅に削減できます。現状ではShopify Payments・PayPal Express・手動決済に限定されるものの、エンティティ別のレポーティングや税計算 API が提供されており、アップデートに追随するアプリも急増中です。
2-3.Dutiesと税金の透明化
越境 ECでネックだった関税・消費税の事前計算と徴収が、すべてのプランで利用可能になりました。チェックアウトで輸入諸費用を確定表示し、回収分をShopifyが自動で仕分けるため、顧客側の「受け取り時追加請求」がゼロに。手数料は2025年2月から引き下げられ、利用障壁も大幅に低減しています。さらに、Shopify が提供するtariffguide.aiが HS コード候補を生成し、商材ごとの税率を即時参照できるようになりました。
2-4.DDP ラベルとHS コード自動分類
関税前払い(DDP)発送に対応する DHL などのキャリアラベルを、Shopify Shippingから直接購入可能に。加えて、商品にHSコードが未設定でも、AIによる自動分類で適切なコードを推定し、信頼度スコアが閾値を満たさない場合はフォールバックコードが適用されます。これにより、誤分類による罰則や過払い関税のリスクを大幅に軽減。
2-5.Shopify Markets アップグレード
「新 Markets」へ強制移行が開始。カタログ・価格・通貨・在庫をマーケット単位で完全分離でき、ストアフロントでもバックエンドでも柔軟なローカライズが実現しました。未対応アプリは警告表示されるため、パートナー企業は早急な互換アップデートが必須です。
2-6.ローカル決済とコンプライアンス強化
Shopify Paymentsがサポートするローカルペイメントメソッドが100種類以上に拡大し、国別で自動的に最適な決済手段を表示。さらに、ジオロケーション対応の「Trust Badge」を設置すると、ユーザーのIPに応じて「iDEAL」「Bancontact」「UPI」など地域固有のバッジが表示され、コンバージョンが向上します。
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3. セグメント別メリットと実務実例
グローバル機能が出揃ったとはいえ、「誰にとって、どの機能が最も効くのか?」 が分からなければ投資対効果は見えません。この章では、Shopify Plus を駆使する多国籍ブランド、海外ユーザーを直接狙う DTC ブランド、そして DTC と卸売を両立させたい B2B ハイブリッドストア、三つのセグメントにフォーカスし、それぞれが得られる具体的メリットと勝ち筋シナリオを解説します。自社フェーズに当てはめて読み進めれば、やるべきことが明確になるはずです。
3-1. Shopify Plus/多国籍ブランド
[主なメリット]
・マルチエンティティ管理
➡︎1つの管理画面で複数法人の決済口座・請求書情報・税レポートを切り替えられる。
・多通貨ペイアウト(最大8通貨)
➡︎売上を現地通貨で着金できるため、為替差損と送金手数料を圧縮。欧州では「複数ストア運営の必要性がなくなった」との声も。
・Launchpad 2025 リニューアル
➡︎全サイト共通のキャンペーンを一括スケジュール。条件分岐(在庫○個未満で自動終了など)や事前プレビューでセール事故を防止。
[実務実例]
「シチュエーション:世界同時セールを安全に仕掛けたい」
・ブラックフライデーを各国サイトで同時開催
・売上を現地通貨で受け取れる
・決算レポートを法人別に分けたい
3-2. 越境 DTC
[主なメリット]
・Dutiesと税金の事前徴収 + tariffguide.ai
➡︎チェックアウトで関税・消費税を確定表示し、受取時の追徴コストをゼロに。AIがHSコード候補を提示。
・DDPラベルとShopify Shipping
➡︎DHL などのDDP対応ラベルをクリック1つで購入。書類作成も自動化。
・Shopify Markets / Managed Markets
➡︎通貨・価格・在庫をマーケット単位で分離し、地域別SEOや配送料ロジックを最適化。
[実務実例]
「シチュエーション:海外からのクレームをなくしてリピート率を上げたい」
・「受け取り時に関税を取られた!」を防ぎたい
・配送遅延や追加請求の不安を消したい
・為替で利益が削られるのを避けたい
3-3. B2B・卸売&ハイブリッドストア
[主なメリット]
・B2B Markets
➡︎取引先ごとにカタログ・価格・テーマを切り替え、DTCと同一ドメインで運用可能。
・柔軟な支払条件とNet Terms
➡︎ネット30/60など掛売りをネイティブで設定。EU向け VAT 逆課税にも対応。
・注文最小・最大値/数量ルール
➡︎Checkout Blocks で発注下限1,000 USDなどを自動ブロック。
[実務実例]
「シチュエーション:同じドメインで小売と卸売を両立したい」
・一般顧客と卸先で価格を変えたい
・掛売り(後払い 30 日など)を自動で管理
・最小発注ロットを守らせたい
Shopify構築完全ガイド|スキル・準備・設定方法を徹底解説!についてはこちらの記事もぜひご覧ください!
4. 導入優先度チャートと段階別ロードマップ
何から手をつけていくべきか、悩んでいる人は多いと思います。この章では攻略手順をまとめて説明していきます。
イメージは以下のような構成です。
[イメージ]
1.まず現状を 「見える化」
2.手間が少なく効果が大きいところから着手
3.土台を固めたら自動化でラクに回す
これらの手順を詳しく解説していきます。
4-1. Step 0:現状棚卸し(Markets 設定・通貨・税制)
・販売国・通貨・税金のリストアップ
➡︎どの国に売っている? 通貨は? 税金は取ってる?などの確認
・翻訳の抜けチェック
➡︎商品名や説明が日本語のままになっていないかを一覧表で確認
・送料、在庫ルールの確認
➡︎「この国には送れない」など制限があるかを整理
4-2. Step 1:リスク低&効果大(為替更新・翻訳 AI・送料一律)
1.為替自動更新を ON
手動でドル→円換算している商品は、Shopify の自動レートに切り替えるだけ→ 為替差損を即日ストップ
2.AI 翻訳で主要 2 言語を追加
ボタン 1 つで英語/スペイン語などを自動生成→ 海外検索からの流入が増え、離脱が減る
3.海外送料をざっくり一律に
海外送料をざっくり統一→ 顧客が合計金額を把握しやすくなり、購入率が上がる
4-3. Step 2:基盤刷新(マルチエンティティ・USDC 決済)
1.複数法人を 1 ストアで管理
アメリカ法人・日本法人などを追加登録 → 決算レポートが自動で分かれる
2.ステーブルコインUSDCをテスト導入
・暗号通貨で支払いたい層に対応し、為替コストをさらに圧縮
・始めは限定商品やテスト販売でOK
3.関税を前払い(DDP)に切り替え
チェックアウトで税金込み総額を表示し、DHL ラベルを買うだけ→ 受取時の「追加請求」がゼロに
4-4. Step 3:自動化・最適化(Flow/レポート/タックスエンジン)
1.在庫が少なくなったら自動通知
Slack に「◯◯が残り 5 個」と飛んできて、発注漏れがなくなる
2.配送遅延のおわびクーポン
配送が止まったら自動で 10 %OFF クーポンメール → 低評価レビューを防止
3.税金の申告レポート
月末に PDF が経理へ自動送信 → 手打ちミスがゼロへ
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5. まとめ
Shopifyの2025年夏アップデートで、多通貨着金・複数法人管理・関税の事前精算が標準化され、在庫通知や配送遅延フォローを自動化するFlowも強化された結果、グローバルな運営が楽になる環境が整いました。
まず為替自動更新ON、AI翻訳で英語追加、海外送料を一律設定の3点だけ実行すれば30分で越境ECの土台ができるので、効果を確認しながら法人追加や税金自動計算へ段階的に進めれば、最小工数でグローバル売上を伸ばすことができるでしょう。
今回のアップデートで便利な機能が追加されました。
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