最近有名になってきた「SHEIN(シーイン)」について、皆さんはご存じでしょうか。
SHEINはトレンドを取り入れる早さもさることながら、その提供価格の安さやSNSでの情報発信なども人気の秘密となっています。SHEINの独特なマーケティング戦略について学べば、ECやマーケティング面で参考になるはずです。
今回はSHEINとは何か、その特徴や成功した理由などをご紹介していきます。
1.実店舗のないインターネットブランド?「「SHEIN(シーイン)」とは
コロナ禍の中で、アパレル業界は実店舗での収益が減り、EC戦略を強めざるを得ない状況に陥りました。そういった中で有名アパレルブランドが続々ECへ力を入れる中、独自の戦略で顧客を広げて一躍有名になったのがSHEINです。
SHEINはインターネット限定のアパレルブランドとして、事業をスタートさせました。中国発ですが、今ではアメリカやヨーロッパなどでも販路を広げています。中国を中心としてアパレルを販売しているというよりは、中国に名目上は本拠地を置きながらも実際は越境EC的な販売手法で収益を得ているのが特徴です。ということで中国よりも、国外での知名度が高くなっています。
Amazonといった有名なECサービスよりも後発のSHEINですが、2021年5月にはAmazonを超えてアメリカ内で最もダウンロードされたアプリとして注目を浴びました。日本でも同年あたりからさまざまなメディアで取り上げられるようになり人気になっています。ちなみに現在のような成功を収めるようになったのは、事業転換を行ってからということです。そして2022年秋にはファーストリテイリングの売上高を超えたといううわさもあり、それだけ勢いのあるアパレルブランドというのがうかがえます。
SHEINの特殊性の1つに、会社情報の秘匿性があります。通常会社と言えば何かしら公式サイトで会社概要を紹介したり、創業者の写真を公開したりするものですが、SHEINは実態が何一つ伝わってきません。そういった中で信頼を得ているのは不思議なように思えます。
2.「SHEIN(シーイン)」の特徴!安くアパレルが購入可能
SHEINを確かめてみると、次のような特徴があります。
もともとの値段が安い
SHEINは、もともとの取扱商品の値段が安いです。たとえばダメージ加工が施されたストライプ柄のおしゃれなセーターが、2,000円しない値段で購入できます。
元々安い値段でアパレルを取りそろえられるのは、
- 実店舗がないので土地代などが掛からない
- マスメディアではなくSNS等を使いマーケティングしている
- 分析を行い回転率が上がるように工夫している
- 仲介業者が少なくすぐに製造や発想ができる体制を整えている
など、さまざまな要因があります。
オンラインブランドのコスト削減の強みを活かすだけではなく、そこからSNSマーケティングを行ったり分析を実施したりして、スピーディーに製造等の工程を終わらせてエンドユーザーに商品を届けられるようにしているのが安さの秘密です。
キャンペーン・イベントが頻繁に開催されている
SHEINはもともと商品の値段が安いだけでなく、そこからさらに値引きを行ってくれます。というのも頻繁にキャンペーンやイベントが開催されており、そこで値引きが発生するからです。
たとえば現在確認しただけでも、
- ブラックフライデーセール
- アプリ限定クーポン配布
- 友達紹介キャンペーン
- LINE友達追加特典
- コード入力で総額から値引き
といったイベント・キャンペーンが開催されていました。
顧客は安い値段に加えてさらにそこから値引きを受けられるので、複数商品を購入する需要も多いでしょう。購入のハードルが低いので気軽に買えるのはよいところです。
デザインへ積極的にトレンドを取り入れている
SHEINはただ安いだけでなく、トレンドも積極的に取り入れながらデザインを行っています。ということで高年齢層よりも、若年層に人気のあるブランドとなっています。
トレンドを取り入れる際は、人間の手だけでなくAIまで利用しているのがポイントです。近年AIに商品アイデアを持ち寄らせて開発に活用するケースが増えていますが、SHEINでもそういった活用を積極的に行っています。
一説ではデザイン作成から商品の実現化までに3日間ほどしか掛からないといううわさもあり、本当なのかは不明ですがかなりのスピーディーさで商品を開発しているのが分かります。
フォローが充実している
SHEINは会社情報があまり出回っていないので、購入するのが不安になりそうですが実際にはかなりの売上を獲得しています。売上が獲得できているのには、購入時や後のフォローが充実しているのも関係しているでしょう。
- 発送前ならば商品キャンセルができる
- 新品と同じ状態であれば返品も可能
- 2,000円以上で送料が無料
発送前にキャンセルできたり2,000円以上で送料が無料になったりと、Amazonに似たフォローの仕方をしているのが特徴です。サポートが多いので顧客は安全に商品を購入できます。
SNSをふんだんに活用
SHEINはSNSを特にふんだんにマーケティング活用しています。具体的にはTikTokやInstagramなどを中心として、販促や告知などを実施しています。
SNSでの情報発信での際には、現在トレンドとなっている「インフルエンサーマーケティング」も積極的に取り入れています。また最近話題の「ライブコマース」でリアルタイムの宣伝を行っているのもポイントです。
こういった最新のマーケティング手法を使いながら、SHEINはトップブランドへと成長しています。
3.「SHEIN(シーイン)」の経営から見る、成功の秘密とは
SHEINの経営戦略を見ていると、次のような成功の秘密が見えてきます。
マーケティング結果を基に緻密な分析を行っている
SHEINではマーケティングの分析をおろそかにせず、AI等を使いながら緻密な分析を行っています。
ビッグデータを独自のアルゴリズムによって分析、トレンド把握や需要の将来的な予測などへ活用できているのがポイントです。ECアパレルにおいて重要な要素を分析によって把握してフィードバックしているので、無駄な商品開発や不良在庫の増加などが発生していません。
アパレル販売においてトレンドを予測しきれず商品を余らせてしまう、といったリスクはつきものですが、SHEINのように緻密に分析すればそのリスクは最大限に減ります。またアパレル販売以外の業界でもそれは同じです。
SNSを活用できている
SHEINでは若者がよく使っているTikTokやInstagramを積極的に宣伝へ活用しています。そしてフェイスブックといった顧客があまり利用していないSNSに関しては特にフォローしていません。こういった明確な取捨選択ができているのも、SHEINの成功の秘訣だと言えます。
インフルエンサーへ自社アパレルを紹介してもらいファンへアピールする、といった手法によって商品を魅力的に無駄なく紹介できているのもポイントです。インフルエンサーの選定やそのファンと自社顧客のマッチングなどが上手く調整できているからこそ、インフルエンサーマーケティングも成功しています。
4.まとめ
今回はSHEINとは何か、その特徴や成功した理由などをご紹介してきました。
SHEINは後発のアパレルブランドながら、上手くSNS等で認知を広げて顧客へアピールを行い一躍注目されるようになりました。成功にはマーケティングの緻密さや、SNSマーケティングの活用などが大きくかかわっています。
日本ではポップアップストアなどもオープンし、さらに注目されているのもポイントです。ぜひSHEINのマーケティングを、自社の宣伝等にも活用してみましょう。