2025年最新版|TikTokショップとは?──日本ローンチで変わるEC戦略と「TikTokショッピング」との違い

2025年6月末、TikTokショップ(TikTok Shop)が日本でも正式に提供を開始しました。動画やライブ配信を見ながら、その場で決済まで完了できる発見型コマースが、いよいよ国内でも本格稼働します。

以下では、最新動向を踏まえつつ「TikTokショップ」と既存の「TikTokショッピング(Shopify連携など旧名称)」の違い、主要機能、海外実績、そして日本企業が押さえるべきポイントを整理いたします。

1.TikTokショップとは

TikTokアプリ内で商品登録 →PR →決済 →物までを完結できるECプラットフォームです。2023年9月の米国ローンチを皮切りに、2025年7月現在で17カ国へ拡大しています。

日本ローンチの概要(2025年6月30日)
日本はアジアで7番目の正式提供国
国内クリエイターもアプリ内で直接販売が可能
競合のAmazon・楽天が強い市場で、ライブコマースと短尺動画の掛け合わせが差別化要素になる見込み

2.TikTokショップ vs. TikTokショッピング(旧名称)

TikTokショップはアプリ内で出品・決済・配送まで完結するフルEC。一方ショッピングはShopify等外部ストアへ遷移し、在庫と決済を外部で管理します。

項目 TikTokショップ TikTokショッピング
決済 アプリ内完結 外部ECへ遷移
在庫管理 TikTok側 or 連携倉庫 Shopify等で別管理
主な表示場所 動画・LIVE・Shopタブ プロフィールのショーケースなど
日本での提供 2025年6月~ 2022年~連携機能として提供

※TikTok For Business上の表記は「Showcase」。

要するに
ショップ=フル機能型EC
ショッピング=外部カート連携ウィンドウ
という住み分けです。

3.主要機能(2025年版)

商品リンク、LIVEコマース、アプリ内決済に加え、倉庫代行FBTやShopify連携などが強化され、集客から物流までを一気通貫で支援します。

機能 内容
Direct Integration 出品・決済・配送をTikTok内で一括管理
Partner Integration Shopifyなど外部ECと在庫同期(旧ショッピング機能を進化)
Product Links 動画に商品リンクを直接埋め込み
LIVE Shopping ライブ配信+カートで即売を実現
Collection / Dynamic Showcase Ads ネイティブ広告・パーソナライズ広告で購買促進
Fulfilled by TikTok (FBT) TikTokが倉庫・配送を代行。米英に続き2025年から日本にも順次拡大予定

4.Shopifyをはじめとする外部ECとの連携

「自社ストアはSEOで、TikTokでは“発見型”で。」──そんな二正面作戦をワンストップで実現できるのが、Shopifyなど外部ECとの公式連携です。2025年2月のアップデート以降、商品登録から在庫同期、広告計測までが一層シームレスになりました。ここでは、とくに利用者が多いShopify連携を中心に、最新機能とメリットを解説します。

1. Shopify 連携の現在地

「TikTokforShopify」アプリをインストールすると、商品・在庫・注文・広告レポートまでShopify管理画面で一元管理できます。2025年2月のアップデートでは、Shopify側からTikTokショップ在庫を直接書き換えられる双方向同期が追加されました。
同アプリは注文・在庫のリアルタイム同期とShopify管理画面での受注処理に対応しており、米英だけでなく日本ストアでも順次ロールアウトが進んでいます。

2.連携で得られる 2 つの流入

流入チャネル 主な役割 連携のメリット
既存EC(Shopify 本店など) 検索エンジン経由の安定した自然検索(SEO) 商品ページがGoogleにインデックスされ、長期的に指名外キーワードを獲得
TikTokショップ 「おすすめ」フィードやLIVEでのバズによる瞬間拡散 短期的な話題化→購買へ直結。アルゴリズム露出で新規顧客を大量獲得

3. Shopify 以外の主要コネクター
TikTokはWooCommerce(ウーコマース)、BigCommerce(ビッグ・コマース)、Magento(マジェント)など他社カートとも公式でAPI連携を提供中です。加えてChannelAdvisor(チャンネルアドバイザー)やFeedonomics(フィードノミクス)などのマルチチャネル管理SaaSも順次対応しており、OMS(受注管理システム)と組み合わせた“在庫一元化”が現実的になっています。

5.海外実績と課題

米国では月流通額10億ドル、BF(ブラックフライデー)には1日1億ドル突破と急成長する一方、物流投資で巨額赤字を抱え、規制リスク回避へ多地域展開を急いでいます。

指標 実績
米国月間流通額 約10億ドル(2024年10月時点)
2024年ブラックフライデー 1日で1億ドルを突破(前年の3倍)

ただし、巨額の先行投資も課題です。米国では物流網や販促補助により 年間5億ドル超の赤字を見込んでいると報じられています。
さらに米国では政府による売却・禁止リスクが残存し、ByteDanceは事業多角化として日本・東南アジアへ舵を切っています

6.日本企業が取るべきアクション

1.TikTok内完結型ストアの早期開設
 競合が少ない立ち上げ期は、アルゴリズム優遇と手数料割引(ローンチキャンペーン)が期待できます。
2.LIVEコマースへの最適化
 国内ユーザーは「短尺+リアルタイム」に慣れていない層も多いため、まずは10分前後の短時間LIVEや限定クーポンで購買導線を学習させる方法が有効です。
3.在庫管理の二段構え
 FBTが日本で完全対応するまでは、自社倉庫+3PLを併用しバズった時の急増に備えましょう。
4.プラットフォームリスクの分散
米国の法規制を踏まえ、自社ECやAmazonへの導線も併存させておくと安心です。

7.まとめ

TikTokショップは、動画視聴と購買体験を一体化させた発見型ECの代表格として急成長しています。2025年6月に日本へ上陸したことで、国内ブランドやD2C事業者にとってはライブコマース×短尺コンテンツを軸にした新たな集客チャネルが開かれました。

一方で、巨額投資に伴う赤字や米国での規制リスクなど、プラットフォーム固有の課題も存在します。
まずは低リスクで参入しつつ、Shopify連携や自社ECとのハイブリッド運用で売上ポートフォリオを最適化することが、2025年の勝ち筋と言えるでしょう。