ヘッダービディングがきてます!
広告を配信したい側にとって、なるべく単価の高い広告を表示して収益を出すのは重要です。しかし従来の広告システムでは、単価の高い広告を確実に出せるようにはなっていませんでした。
この問題を解決するのが、「ヘッダービディング(header bidding)」です。ヘッダービディングでは複数の広告を同時に比較して、高い広告を出せるように工夫されています。
今回はヘッダービディングとは何か、そして仕組みやメリット・デメリットなどを広告掲載企業向けに解説していきます。
1.ヘッダービディングとは?
インターネット業界では、「プログラマティック広告」を利用して広告を表示するのが主流です。プログラマティック広告では広告に関するあらゆるプラットフォームと連携し、広告掲載側が自動で広告の買いつけを行えるようになっています。
従来採用されていたウォーターフォール方式
プログラマティック広告では、従来「ウォーターフォール方式」が採用されていました。ウォーターフォール方式ではまず広告掲載メディアが各SSP(広告掲載側のプラットフォーム)などに決まった順番でリクエストを送り、フロア価格(広告買いつけの最低価格)以上など条件に合った広告を探して表示する仕組みです。
しかしウォーターフォール広告では、順番にしか広告リクエストを送信できないのが大きなネックとなっていました。リクエストのタイミングによっては、条件に該当した広告を発見した2、3後にリクエストしたSSP側がより高く買いつけられる広告の情報を持っていることもあり、その場で最高値をつけている広告を表示するのが難しいからです。
また順番にリクエストを送る性質上広告を決定して表示するのに時間が掛かり、ユーザーから嫌がられる可能性があるというデメリットもありました。
そこで登場したのが、ヘッダービディングです。ヘッダービディングでは上記課題を解決し、掲載側が望む最も高い広告を表示できる仕組みが整っています。
2.ヘッダービディングの仕組みとは?
ヘッダービディングは、「Java Script」コード(ラッパータグ)により実装されます。
まず広告を掲載したいWebサイトに、ラッパータグを貼ります。するとラッパータグをもとにWebサイトが複数のSSPなどに問い合わせを行い、その中で条件に合った最も高値の広告を発見できます。
見つかった最高値の広告はさらにアドサーバー内で他の広告と比較され、最終的にその中で最高値の広告がWebサイトに掲載されます。
同時に複数のSSPに問い合わせができるというところが従来のウォーターフォール方式との違いであり、短時間で一番高値の広告を選定できる、ヘッダービディングの仕組みなのです。
3.ヘッダービディングのメリットやデメリットとは?
ヘッダービディングのメリット
ヘッダービディングでは確実にその場で最高値の広告を探し出せます。
ウォーターフォール型では見逃していた最高値の広告を、ヘッダービディングでは同時に複数のSSPなどに問い合わせを行うことで解決しています。同時リクエストにより並列で広告の値段比較が可能になり、一瞬でどの広告がその場で高いかを判断できるためです。
しかも同時に問い合わせができる分広告検索に掛かる時間も減り、ユーザーを待たせずにスムーズに広告表示できるようになりました。今まで広告が遅く表示されることで広告、更にはWebサイト自体に悪いイメージを持つユーザーもいたため、これは大きなメリットと言えます。
さらにヘッダービディングでは、「ファーストプライスオークション」を採用しています。
ウォーターフォール方式が主流だった時代は「セカンドプライスオークション」が中心でした。セカンドプライスオークションでは一番掲載額の高かった企業が、二番目に高かった企業の掲載額を基準に料金を支払う方法でした。
これは掲載側が当初予定より安く広告を掲載できるなどのメリットがありましたが、広告ネットワークが煩雑化する中では最善と言えない方法になっていました。
ファーストプライスオークションではCtoCのオークションと同じように、一番高い額を提示した企業が当初提示した金額で広告を掲載します。これにより広告掲載側は、従来よりもさらに高い広告を表示できるようになりました。
ヘッダービディングのデメリット
ヘッダービディングには、デメリットもあります。
まず単にコードを埋め込むだけでなくさまざまな作業が必要なので、エンジニアとして知識と技術のあるリソースを社内で確保しておく必要があります。またヘッダービディングのサービスはいくつかあるため、自社で必要なサービスを選定、場合によっては複数導入する必要も出てきます。
ヘッダービディングサービスを導入する際は、前準備をしっかり行っておきましょう。
4.まとめ
今回はヘッダービディングとは何か、そして仕組みや導入メリットやデメリットなどをご紹介してきました。
ラッパータグを埋め込んだり設定したりする際に多少手間は掛かるものの、最高値の広告をリアルタイムで探せるヘッダービディングは将来的にウォーターフォール方式に代わって主流になっていくでしょう。広告掲載側ではヘッダービディングを活用して、広告収益を最大化できます。
まだ導入していないという方は、ぜひこの機会にヘッダービディングサービスを比較してみてください。