インターネットには本当の情報もあれば、嘘の情報も大量に混ざっています。こういった状況下で間違った情報を基に行動判断を行ってしまう方もおり、情報の精度や正確性などをどうやって確保するかが問題となっています。
GoogleやYahooといった組織はこういった問題を解決するために、投資を行い「日本ファクトチェックセンター(JFC)」という新しい組織立ち上げに協力しました。今回は日本国内で設立された日本ファクトチェックセンターの概要や活動内容等をご紹介していきます。
1.Google等が協力した日本ファクトチェックセンターとは?組織体制はどうなっているのか
日本ファクトチェックセンターは英語で「Japan Fact-check Center」と記載される、日本国内で設立された情報の真偽を確かめるための組織です。2022年10月1日から事業を開始しています。
昨今インターネットに出回っている情報の真偽を確かめるのが難しくなっています。というのも画像・動画等の加工が従来より簡単になり、間違った情報を制作するハードルが低くなっているからです。また単純に情報の量が増加して広まるスピードが速まっているのも、真偽確認が難しくなっている要因となっています。
こういった状況下でインターネット初心者でも安心して情報を確認・判断に活用できるように、日本ファクトチェックセンターが設立されました。日本ファクトチェックセンターは
- 検証作業に手間が掛かる
- 検証記事には広告を出しにくい
といった課題を解決するために、
- 公式サイト上でチェックしたインターネット情報を発信
- 提携メディアへチェック済み記事を配信
といった活動で情報の真偽確認をサポートすることを発表しています。
ちなみに団体立ち上げのための資金は
- Yahoo
といった大手IT事業者によって捻出されました。
また立ち上げの主体は、よりよいインターネット社会を実現するために活動している「セーファーインターネット協会(SIA)」となっています。セーファーインターネット協会にもYahooといった有名企業がかかわっており、日本ファクトチェックセンターはセーファーインターネット協会の活動をサポートする立場に今後なっていきそうです。
2.Google等が協力した日本ファクトチェックセンターの活動内容!公式サイトや提携メディアにニュースを配信
日本ファクトチェックセンターはGoogle等の協力を得ながら、次のような活動を行っています。
混乱を招きそうな情報に関するファクトチェック
- 政府の陰謀
- 災害の最新情報
といった情報は、誤っているとときに大きな悪影響をおよぼしてしまうリスクがあります。
日本ファクトチェックセンターではこういった間違っているとリスクの高い情報を重点的にチェックする方針を打ち出しています。すでに科学的根拠を示して根拠がないと説明している情報が公開されており、真偽判断に役立てられているのがポイントです。
重点的にチェックする情報はツイート数といった拡散性等を基に決められているようで、要は社会に影響をおよぼしている、あるいはおよぼしつつある情報がチェックされて今後は公開されていくでしょう。
公式サイトでのファクトチェック済み記事の配信
日本ファクトチェックセンターでは調査した情報を
- 正確:間違った内容がない、重要要素網羅
- ほぼ正確:一部は間違っているがほとんどが正しい情報
- 根拠不明:情報が不十分で検証が難しい
- 不正確:一部は正しいが欠陥等あり
- 誤り:誤り・重要要素の欠如
の5つで評価します。
そして調査済みの記事を評価付きで公式サイトへ逐一公開しているのがポイントです。
ユーザーはアイコンで根拠の正確性等を確認しながら、情報をチェックして参考にできます。ほぼ正確以上のステータスである記事は、参考にして行動してもよいでしょう。それ以外のステータスだと参考にするのにはリスクがあります。
ちなみにステータスの審議についてはまだ模索中のようで、今後運営委員会の意見等を参考に公正なファクトチェックへ継続して取り組む、としています。
各メディアへのチェック済み記事の配信
日本ファクトチェックセンターで検証・評価された記事は、公式サイトだけで掲載されるわけではありません。
- Yahooニュース
- LINE NEWS
といった各メディアへ公開されることになっています。
もし気になっている情報の真偽をいち早く確かめたい場合は、Twitterをフォローしておくとすぐ情報が受け取れるので便利です。また公式サイトにもアカウントフォロー機能が備わっているので、そちらも情報を受け取る際に活用するとよいでしょう。
オンライン講習といったITリテラシー向上のサポート
情報を受け取る側の知識・スキルも向上させないと、情報に踊らされる方は減りません。そこで日本ファクトチェックセンターでは、オンライン講習といった活動でITリテラシー向上をサポートすることを発表しています。
具体的な活動内容はまだよく判明していませんが、講習などを受けることでなぜこんなにフェイクニュースが増加して混乱を招いているのか、といった疑問が解消されるでしょう。気になる方は講習等の情報が来ていないか、定期的に公式サイトなどを確認してみてください。
3.日本ファクトチェックセンターの疑念点とは?すべてのファクトチェックは不可能
日本ファクトチェックセンターはまだ設立されて間もないので、次のような懸念点があります。
組織として機能を維持できるか
現在日本ファクトチェックセンターは、
- ガイドライン策定等を行う運営委員会
- 記事制作等を行う編集部
- 組織の適正性等を確認する監査委員会
の3部門で成り立っています。
この部門のどれか1つでも機能不全に陥ると、ファクトチェックの仕組みが上手く機能しません。
まだ立ち上がったばかりなのでノウハウも蓄積されていませんし、今後どうやって効率よく正確な運営を行うかには注視しておきたいものです。
Googleといった企業からの影響はないか
日本ファクトチェックセンターには、GoogleやYahooといった企業がかかわっています。こういった企業から圧力があり、不都合な情報がもみ消されたりするリスクはゼロではありません。
もっとも発覚してしまうと企業の信頼が落ちてしまうので基本的には圧力は発生しないと思いますが、協力企業の従業員などが独断で圧力を掛ける可能性もあります。ユーザーとしてはこういった問題が起こらないように注意して運営してほしいと願うばかりです。
全情報チェックは不可能
残念ながら、日本ファクトチェックセンターのみであらゆる情報を調査して評価することはできません。現状では月10本ほど記事をアップロードして公開する体制を取っています。
人の手も借りないと実行できないファクトチェックは、人海戦術的な側面もありチェックできる情報に限界があります。今後自動チェック機能が活用されたり人員が増えたりすれば、さらにチェックできる情報は増えていくかもしれません。
ちなみに報道団体が発信した情報はチェック対象に入らないとし、真偽は報道機関へゆだねるとしています。
4.まとめ
今回は日本ファクトチェックセンターの概要や活動内容等をご紹介してきました。
日本ファクトチェックセンターによって、情報の真偽がある程度はっきりした記事が多数発信されてフェイクニュースが減ることが見込まれます。ただしまだ活動規模や組織体制等に課題があるので、まずは正常に情報が発信されるかを私たちは確認しないといけません。
また日本ファクトチェックセンターの情報だけに頼らず、自分でも情報の真偽を判断するスキルを身に付けるのも重要です。ぜひ総合的なITリテラシー向上を目指してみてください。