チャットツールとして最も世界中で使われているのは、「Slack」です。Slackはチャットツールとしてだけでなくタスク管理をしたり、ファイル共有といった用途でも使える汎用性の高いツールです。
現在Salesforceの傘下となったSlackですが、そのSalesforceの年次イベントで「Slack Canvas」という新機能が提供予定だというのが明らかになりました。Slack Canvasではアカウントを横断した情報の提示が可能となっています。
今回はSlack Canvasの概要や特徴などをご紹介していきます。
1.Slack Canvasとは?Slackの新機能
Slack CanvasはSalesforceの年次イベントである「Dreamforce」で発表されました。正式な提供はまだ決まっていませんが、機能の特徴は一通りまとまっておりイベント内で詳細がお披露目されています。
Slack Canvasではチャンネルで分割されてしまっている重要な情報を、掲示板のようにまとめて貼り出して紹介できる機能です。重要な情報をすぐアクセスして確認できるようにすることで、Slack内での情報見落としを防ぎ必要な情報を効率よく提示できるようになるのがポイントになっています。
「Reworked」の調査では標準的なオフィスワーカーは情報の探索に週平均4.5時間を消費しているそうです。そして回答した45%が、システムが分断されている状態で情報を検索している状況が浮き彫りになりました。Slack Canvasの活用によってこういったサイロ化問題が解決され、情報が一括整理できるようになります。
Slackでは現在、会社の組織機能をデジタル化して提供することで環境を選ばず作業ができる「デジタル本社(Digital HQ)」を提唱しています。DXの一環とも言えるデジタル本社ですが、実現するには場所にとらわれない、効率のよい情報共有等が必要です。
Slack Canvasの横断的な情報提示機能は紛れもなくデジタル本社の促進につながるものであり、今後の提供およびユーザー間での活用が注目されます。
ちなみにDreamforceではSlack Canvasの他に、
- 「ハドルミーティング」の機能拡張
- 「Slack Platform」のバージョンアップ
なども発表されました。
ハドルミーティングは気軽に同僚と会話のできる機能であり、従来は音声チャットのみの提供でした。これに映像といったコミュニケーションが追加され、さらに多様性が増して便利になっています。
またSlack Platformはアプリ等を開発する環境サービスですが、オープンベータとして一部開発者が利用できるバージョンアップ版が提供開始になりました。従来よりさらに開発の自動化が可能になっており、こちらも正式版の提供開始が望まれます。
2.Slack Canvasの特徴!情報がまとまって埋もれなくなる
Slack Canvasには次のような特徴があります。
重要情報の固定・引き出し
Slack Canvasでは備品申請方法や業務の基本ファイルといった「いつでも確認しておきたい情報」を、1つにまとめて貼りつけて提示することが可能となっています。従来のSlackだと、重要な情報はチャットで埋もれてしまうリスクがありました。Slack Canvasであればそういったリスクを下げて情報共有ができるので便利です。
また情報の引き出し方は
- チャンネルに関連付けておく
- 今後追加される固定メニューから呼び出す
といったようにさまざまであり、好きなタイミングで相手に提示できるようになっているのもポイントです。
分析データの共有・外部データの取り込み
分析データは素早く共有しないと、鮮度も落ちて活用が難しくなるリスクがあります。Slack Canvasではそういった課題を解決できる機能が搭載されています。
具体的にはまず、データのスナップショット作成が、コード不要で実現できるようになっています。必要な情報を可視化してすぐ共有したいときに便利な機能です。
またSalesforce Customer 360といった関連ツールからデータを取り込み、Slack Canvas内へ保存できるようになっているのもポイントです。Slack Canvas内にリンクを設けてデータを確認できるようにすることで、その場で更新等ができるようになり作業が楽になります。
背景情報とアクション要素を同時に提示できる
たとえば背景情報を休暇申請、アクション要素を申請ボタンのクリックだとします。各要素が別々の場所にあると、確認や申請準備に手間取って無駄な時間が発生する可能性があります。
Slack Canvasであれば休暇申請の概要と申請ボタンの操作を同時に提示可能です。複数のアプリを動き回ることなく作業ができるので、ちょっとした提携作業でも効率化されて便利になります。
従業員は効率よく時間を使えるようになり、生産性が結果的に向上する効果も得られるでしょう。
外部ツールとのリンク連携
Slack CanvasではSlackアカウント内のチャット情報だけでなく、
- YouTube
- Google ドライブ
- OneDrive
といったツールの情報もリンクで連携させて表示させることが可能です。
上記のようなツールはビジネスで頻繁に使う機会が多く、Slackと併用しているケースも多いでしょう。Slackを使っている場合はSlack Canvasを使って各ツールの情報を提示することで、いちいち各アプリごとにアクセス経路を変える必要がなく効率よく情報を引き出せるようになるのがポイントです。
3.Slackとはそもそも何?
Slackとは、日本のみでなく世界で使われているチャットツールです。メールやGoogleアカウントで新規登録ができるようになっています。
チャンネルという単位を通してチャット会話ができるようになっており、組織内用・外部用といったように目的によってチャンネルを分割しながら管理できるようになっているのがポイントです。また画像・動画・書類の共有もできるようになっており、チャットを進めながら納品物を送信する、といったこともできるようになっています。
チャンネルに関しては
- 社内全員が参加できる「パブリックチャンネル」
- 一部の人間のみが参加できる「プライベートチャンネル」
- 社外の方と連絡が取れる「Slack コネクト」
などが用意されており、状況によって使い分けることでセキュリティ性が上がります。
さらにGoogleドライブといったツールとの連携によって、Slack上から直接通話に参加する、といったことも実現可能になっています。自社独自のツール・システムとの連携も実現可能です。汎用性が高い分使いこなすのには時間が掛かるかもしれませんが、あらゆる作業を集約できるチャットツールとして人気があるのがポイントです。
4.まとめ
今回はSlack Canvasの概要や特徴などをご紹介してきました。
Slack CanvasはSlackの情報集約性をさらに高めるための機能です。時期にかかわらずいつでも確認しておきたいような情報をまとめておき、アクセスできるようにすることで、情報の抜け漏れを防ぎながら共有することが簡単にできます。
またSlack Canvas以外のハドルミーティングやSlack Platformといった機能強化も注目ポイントです。ぜひSlackの各機能を使いこなして、社内・社外コミュニケーションを促進させてみてください。