Googleのアプリ決済が外部解放へ!ただし注意点もあり

Googleは自社アプリストア「Google Play」にて、今までアプリ内決済しか認めていませんでした。しかしアプリ開発者側からはその手数料の高さや制限などが問題視されており、批判が高まりつつあったのも事実です。

その動きを受けてか、ついにGoogleがアプリ決済の外部開放をしました。まだ完全な自由化ではありませんが、今後のアプリ決済の仕組みを変える重要な転換点になる可能性があります。今回はGoogleのアプリ決済の仕組みや外部開放のニュースなどを解説していきます。

1.【決済方法が限定され、手数料も高い】従来のGoogleアプリ決済の仕組みとは?

従来のGoogleはGoogle Playでのアプリ決済において、「アプリストア内で認められている決済方法以外は容認しない」という姿勢を見せていました。たとえば開発者Aが、自社アプリにて独自の決済方法を構築して公開したとします。この際独自の決済方法はアプリストアでの決済を通さない抜け道として扱われ、ルール違反とされ削除等の対象となっていました。

独自の決済方式を通せれば、ユーザーへ独自の利便性を提供できるだけでなく手数料削減にも効果があります。アプリストアでの手数料の高さは長年開発者の間で問題視されてきました。App Storeを含め昔は一律30%決済発生時に手数料を取られることもあり、それだけアプリ開発者の利益は大きく減っていたのが課題として取り上げられています。

しかしこの姿勢がすぐに変わることはありませんでした。AppleとGoogle双方が「サポート面やセキュリティ対策などの費用に使っているため、手数料が高いのは妥当だ」という考えを持っていたからです。

こういった仕組みや姿勢に関して、批判を持っている企業が独自の反対姿勢を見せたこともあります。

Epic GamesはGoogle Playの決済方法を容認せず、自社アプリ「Fortonite」を自社サイト内で限定公開していた時期がありましたし、独自決済方式を用意してGoogleからの承認を受けず提供していたことがあります。ちなみに独自決済方式の提供に関してはApp Storeでも行っており、こういった動きは世界的なニュースとなりました。アプリ決済の仕組みにあまり興味がなさそうな層にも問題が届くきっかけになったでしょう。Appleとは裁判沙汰になっており、現在も訴訟は継続中です。

またNetflixなどはルール違反ぎりぎりのラインを攻め、独自決済をユーザーへ提供したりといった取組をしていました。大企業を中心として、決済方式の限定性や手数料の高さへ批判を持っているところは少なくなかったようです。

2.Googleのアプリ決済が外部開放!一部アプリで独自の決済を導入可能に

アプリストアでの決済方式に関して批判も高まっている中、Googleはついに外部開放の方法を模索し始めました。2022年3月23日にはSpotifyといった一部アプリにおいて、Google Playでの外部決済システム利用を容認しています。

SpotifyもNetflixと同じくルール違反すれすれの独自決済提供などを行っており、AppleとGoogleのアプリ決済方式に不満を持っていた企業の1つです。今回のニュースは長年争っていたGoogleとSpotifyが提携するという意味でも大きなニュースとなりました。

認証されたアプリは、アプリストア決済を通さない独自の決済方式を組み込んだ上で正式に公開できます。手数料負担などを回避できる画期的な仕組みとなるでしょう。

Spotifyは2022年に公開するアプリにおいて、アプリストア決済と独自の決済方式をユーザーへ提示、どちらかを選んでもらう方式で決済を提供すると発表しています。

ただしこれはテストプログラムであり、Googleでは「少数の開発者が従来課金システムに追加の独自決済機能を設置可能になる。Googleがアプリ配信プラットフォームへ投資しながら、新決済の選択肢を利用者に提供する方法を模索するのが目的」と説明しています。Googleから承認されていないアプリは依然としてアプリ決済が外部開放されません。無断で導入するとルール違反になり削除等の対象となります。

また試験内容については、「外部決済を利用したとしても手数料は徴収する」と発表しました。アプリストア決済よりは少なくなるでしょうが、負担が0になることはありません。今後の試験結果や世論、開発者側からの意見などで姿勢は変わってくるはずです。決済方式変更について詳細が決まるのはこれからになってきます。

3.Googleのアプリ決済はなぜ外部開放されたのか?Appleの動きも併せて紹介

ここではGoogleのアプリ決済外部開放について、関連する動きをご紹介していきます。

韓国でGoogleとAppleのアプリストア決済方式を認めない法案が成立

一部の国では、条例や法律によってアプリストアの従来決済方式を認めない方針を打ち出したところがあります。

たとえば韓国では2021年8月に、「電気通信事業法の改正案」が可決および成立しました。すでに2021年9月に施行されており、Google、Appleの両者が自社アプリストア内で自社決済システム利用を強要するのを禁じています。

Googleに関してはこの法律施行において外部決済の容認を表明しました。しかし「決済手数料は外部決済でも徴収する」と発表したことで、通信規制当局の批判を受けることになりました。

またAppleも外部決済を容認する意向を通信当局に伝えています。しかしこちらも具体性が不透明であり、Googleと同じく通信規制当局から改善の必要ありと批判を受けました。

Appleが法律違反でオランダに罰金を支払いながら従来決済方式を継続

オランダでは出会い系のアプリ運営会社がAppleのアプリ決済に関して苦情を申し立てていました。消費者・市場庁は調査の結果、外部決済を開放していないのは法律違反だとして外部決済手段をAppleへ認めるよう指示しています。

しかしAppleは「利便性・セキュリティーが損なわれる」と反論、姿勢を崩していません。控訴まで行っていますが、地域限定で外部決済をしぶしぶ容認すると発表しました。ただし出会い系アプリに対しては

  • 配信地域をオランダに限定
  • 外部決済利用でも手数料は徴収

という条件を付けています。

消費者・市場庁はAppleの態度を容認せず、週ごとに500万ユーロの罰金を科すことにしました。

Appleに関しては

  • 対象者のアプリ手数料を30%→15%に下げる
  • 日本で一部アプリに関して外部決済リンクの貼り付けを認める

といった条件緩和を今まで行ってきました。しかしどれもが条件付きであり、基本のビジネスモデルは変更されていません。

この態度が大きく変更になるかは、これからの訴訟や開発者の批判具合にもよりそうです。

4.まとめ

今回はGoogleのアプリ外部決済開放のニュースなどを取り上げてきました。

アプリストアの決済方法強要や手数料徴収などは批判を受けており、一部の企業は訴訟をしたりと大きな動きになっています。その中で今後GoogleやAppleがどうやって既存のビジネスモデルを変更するかがカギになってくるでしょう。

今のところは条件付きで外部決済を開放、状況をデータ収集しているところです。大きなデメリットがなければ、今後何かしらの方法で外部決済が制限なく解放されるかもしれません。最新ニュースについては自分でも調べるとよいでしょう。