D2C(DtoC)がアツい!
リモートワークが増えている昨今、インターネット通販の市場は以前にも増して成長を続けています。 ご存じの方も多いと思いますが、改めてD2C(DtoC)という取引形態について整理してみたいと思います。
D2Cを成功させればユーザーと直接取引を行いながら、ユーザーを詳しく理解して最適なマーケティング手法を取れるようになるでしょう。今回はD2Cについて詳しく知りたい方向けにD2Cとは何か、そして注目されている背景や成功事例などを分かりやすく解説していきます。
1.D2Cとは?
D2Cとは「Direct to Consumer」の略で、SNSなどのツールを通じて直接消費者とコミュニケーションを取る取引形態を表しています。
昔の取引形態では小売店といった中間業者を通して顧客とコミュニケーションを取っていました。しかしECサイトといったツールの登場により、顧客と直接コミュニケーションを取れるような環境が構築されていき各企業で導入されてきました。
また、D2Cが最近さらに注目されているのは、消費者の消費形式が単に商品やサービスを購入して消費する「モノ消費」ではなく、「コト消費」にシフトしているからです。D2Cでは自社のブランドをストーリー性を出しながら直接顧客にアピールできるため、体験満足度が向上してコト消費を後押しできるのです。
2.なぜD2Cが注目される?
インターネット広告のコンサルティングを行っている「売れるネット広告社」は、デジタルD2Cについて市場調査を行い公表しています。
それによるとデジタルD2C市場は2019年度に2兆300億円になり、2020年には2兆2,200億円、そして2025年には3兆円を超えると発表されました。スマホの普及により各SNS経由で消費者と企業とのタッチポイントが増加して、顧客の購買意欲が刺激されているなどの背景が考えられます。
D2Cには次のようなメリットがあります。
仲介業者を利用するより利益を最大化しやすい
D2Cでは仲介業者を挟まないため、販売手数料といったコストが減ります。自社のECサイトを1からフルスクラッチで構築できれば手数料は0円ですし、「shopify」「BASE」「STORES」といったECサイトプラットフォームを活用して制作した場合も販売手数料などは安く済みます。
小売店や総合モール型ECサイトなどを利用する際、販売手数料などが高く設定されているため利益が目減りして最大化できない企業も多いです。しかし、仲介業者もうまく利用しながらD2Cで独自のチャネルを構築することで、ブランド力を醸成しながら利益も最大化させられます。
商品の差別化で顧客のロイヤリティを高めやすい
D2Cで販売を行うと
・自社のブランドができるまでをユーザーへブログ形式で伝える
・包装をオリジナルにして差別化する
といった独自の施策が取りやすくなります。
直接顧客と取引をするので接客などの手間は掛かるかもしれませんが、その分顧客へ自社の商品やサービスに対する思いを確実に伝えられるようになります。単に商品やサービスを販売するだけでは競合との差別化が難しくロイヤリティが醸成しにくい場面も多いですが、D2Cだとロイヤリティを効率よく向上させながらマーケティングが可能です。
フィードバックを商品・サービス開発や改善に活かせる
D2Cでは直接取引をするので顧客データも自社へ直接蓄積されます。総合モールECサイトを通した場合全データが開示されるわけではないのでデータを活用しにくいですが、D2CのECサイトを経由させればその心配はなくデータを細かく把握可能です。
また直接的な商品やサービスへの意見も活かしやすくなるので、フィードバックして商品やサービスの開発及び改善に利用してブランド力をさらに高められるようになります。
3.D2Cの成功事例
ここからは大手ブランドのD2C成功事例を見ていきましょう。
ナイキ
大手スポーツブランドの「ナイキ」は、アプリを軸にD2C施策を推し進めています。
具体的には
・ナイキプラスでは実店舗での販促機能を強化
・ナイキSNKRSでは限定版商品の販売などスニーカーのファンへアピール
・ナイキトレーニングクラブなどではフィットネスサービスを提供
といったように複数のアプリを使い分けながらファンを獲得しているのが特徴です。今後はD2C事業拡大のため、アプリにイベント参加や意見収集などを目的とした機能を追加する構えです。
ナイキダイレクトの売上高が2020年見込みで160億ドルといったように、すでにD2C分野で大きく成功しています。
バルクオム
男性向け化粧品メーカーの「バルクオム」は、
・UGC(ユーザーが生成したコンテンツ)をLPやSNSなどへ活用して情報を発信
・インタラクティブ動画を活用して1人1人に合わせた美容提案を行う
といったように、効率的にデジタルツールを活用しながらD2C事業を進めています。
商品の中身を重視するコンセプトを取っており、あえて容器をチープにするなどの工夫も受けているようです。
またAppStoreでは身だしなみのチェックのみに機能を絞った鏡アプリ「バルクオム ザ ミラー」を提供中で、評判も星4以上と高いのもポイントになっています。
4.D2Cとアプリの相性の良さ
D2Cとアプリの相性はよいです。
・プッシュ通知で開封率の高い情報発信が可能
・ポイントカード機能など顧客のリピーター化へつながる施策を取りやすい
・ECサイトと実店舗の垣根なくサービスを提供できる
といった特徴によってD2C事業を推し進めやすいのがポイントになっています。
普及率が年々増加しているスマホを通じてタッチポイントを持てるので、場所を選ばずに最適なタイミングで情報を発信しながら集客やコンバージョンなどへつなげられるのもメリットです。また実店舗での販売データもデータ化して、インターネットのデータと統合しながら細かいマーケティング分析ができるのもよいところです。
すでにナイキなど、アプリを活用して顧客のリピーター化や売上増加などに成功している企業も数多くあります。
またアプリを簡単に開発できるアプリプラットフォームが増加しており、中小企業もアプリマーケティングに手を出しやすくなっているのもポイントです。今後はSNSといったツールを活用しながら、自社アプリを制作してマーケティングを拡大させる企業がより増加していくでしょう。
5.まとめ
今回はD2Cとは何か、そして注目されている背景や成功事例などを分かりやすく解説してきました。
D2C施策を推し進めることで、自社のブランドストーリーを顧客へ理解してもらいながら「コト消費」を促進させられます。体験を含めて商品やサービスを販売できるようになれば、リピーター獲得や収益増加も実現しやすくなるのがポイントです。
ぜひ気になる方はアプリプラットフォームの活用によるアプリ開発などを行いながら、D2C施策を進められる環境を構築してみましょう。