JICDAQは、iPhoneやAndroidスマートフォンなどへ表示されるデジタル広告の品質を確保・安全性の高い取引の仕組みを構築するために設立された団体です。JICDAQは
- JAA
- JIAA
- JAAA
という3団体が母体となっている団体ですが、特にJAAの「アドバタイザー宣言」を理解しておくと、JICDAQをよりよく理解できるようになるのがポイントになってきます。
今回はJAAの概要やアドバタイザー宣言の内容などを中心に解説を行っていきます。
- 目次
1.JICDAQにも参加しているJAAってそもそも何?開催イベントの評判はどうなっているのか
JAAとはアドバタイザー(広告主)として広告を出稿する企業・団体で構成された組織です。広告活動を適正化して課題を解決・貢献することを目的にした団体となっています。
流動性が激しい現代社会において、信頼性の高い情報を広告主が用意して配信するのは重要です。そこでJAAでは
- 人材の育成
- 調査研究
- 広告コンクール
- 情報の発信や共有
- 相談・助言
- 他団体のサポート
- 広報
などを通じてそれを達成しようとしているのがポイントです。
また開催しているイベントも多く、代表的なものの1つが「JAA広告賞 消費者が選んだ広告コンクール」です。JAA広告賞 消費者が選んだ広告コンクールは歴史が長く、消費者が審査員となって優秀な広告を選ぶ世界でも珍しいコンクールなのがポイントです。
歴史あるコンクールを開催していることからも、JAAの評判の高さがうかがえるでしょう。
2.JICDAQの理解にもかかわる!JAAが出したアドバタイザー宣言とは
JAAを理解するために重要なのがアドバタイザー宣言です。アドバタイザー宣言とは広告主の観点に立った宣言であり、広告の課題を解決するために広告主・パートナーが取るべき行動をリスト形式でまとめています。
アドバタイザー宣言は次の8つの項目から成り立っています。
アドフラウドの根絶・対応
広告効果を不正クリックなどで水増しする「アドフラウド」は、広告詐欺の一種であり悪質な行為です。アドフラウドを根絶できるような対応を取ることが広告主にも求められます。
JAAではアドフラウドについて「将来の日本の広告業界のために、またデジタル広告のエコシステムを機能させるためにも対応が必要」と説明しているのもポイントです。広告主としては
- アドフラウドを検証するソリューションによって結果が異なってくることを理解する
- 対策や補償に関するプロセスについては、関係者と事前に合意してから出稿を行う
といった点に気を付けるよう注意喚起されています。
ブランドセーフティーを厳しく確保する
ブランドセーフティー、つまりブランドの信頼性・安全性の確保も広告主へ求められています。
JAAでは「ブランド毀損が起きる事象や脅威からブランドを保護する仕組みを作るのが重要」としています。
- 社会混乱といった影響を与えるメディアには投資をしない
- 広告が社会によろしくない影響を与えるメディアの収入源となるリスクを理解する
- 不適切なメディアへの出稿に反対し、また広告主として不適切な広告を作り発信するのも防ぐ
- 広告出稿が不適切だと思われる場合は、即時取り下げを行う
といった行動が事例で挙げられているのでチェックしてみてください。
ビューアビリティの確保
ビューアビリティはデジタル広告の視認性を表していますが、日本は世界と比較してその水準が低いと言われています。JAAではそれを念頭に置きながら「インプレッションを重視する場合、ビューアビリティは保証されているべきである」としています。
広告主としては
- ビューアビリティの基準には議論の余地があり、求められるレベルによっては保証されない可能性があると知る
- ビューアビリティのレベルを高くしてしまうと広告在庫やリーチの面などで悪影響がある点も理解する
といった事項を覚えておいてください。
第三者を介したメディアの検証・測定の推奨
広告主は掲載メディア側からの評価を純粋に受け入れてはいません。測定ミスや改ざんなどが考えられるからです。そこで提供データは第三者による検証・測定に基づくものであるべき、という考えをJAAでは提唱しています。
広告主としては
- 第三者計測を行うメディアとの取引を優先する
- 開示されたデータが悪くても追及せず改善に向けて議論を進める姿勢を持つこと
といった点が重要視されています。
サプライチェーンを透明化する
デジタル広告の制作や出稿、掲載といった各工程の流れ(サプライチェーン)を把握することも重要です。JAAでは「広告主として中間取引の透明性を高めながらステークホルダーへ利益がしっかり配分されているか開示するべき」としています。
広告主としては
- パートナーのビジネスモデルを考えながら合意に基づく適切で公正な報酬を約束する
- パートナーとの契約に関してモニタリング・情報共有に努め、ポリシーや知的財産権も考える
といった対応を取る必要があるでしょう。
ウォールドガーデンへ対応する
広告主が利用しているプラットフォームが、ウォールドガーデン(ユーザーのデータを囲い込んで外部へ提供しない状態)になっていることがあります。広告主としてよろしくないこの状況に関してもJAAは言及しており、アドバタイザー宣言では「プラットフォーマーによる広告出稿のデータのアクセス制限・一方的な活用は容認できない」としています。
広告主としては「プラットフォーマーから提供されたデータは法規に従って取扱い広告活動以外では利用しないこと」が重要です。
データ透明性の向上
Cookie利用が制限されつつあることからも分かるように、個人情報保護の観点からユーザーデータの取り扱いは厳重にする必要があります。アドバタイザー宣言でも「ユーザーデータは透明性の高い状況で活用を行い、プライバシーを侵害しないようにする」といった決まりを公表しています。
広告主としては「データ透明性の実現へ向けてパートナーと協力してアクションを取ること」が求められるでしょう。
ユーザーエクスペリエンスの向上
ユーザーのデジタル広告から得られる体験(ユーザーエクスペリエンス)も重要です。アドバタイザー宣言では「余計な広告接触を増やしたりせず適切に広告を出すことで、ユーザーに良質な体験を提供することが必要」としています。
広告主としては
- 不適切な広告手法を利用しない
- ユーザーやメディア、クリエイティブといった要素でユーザーエクスペリエンスが変化することを理解する
といった点を把握しておくと安心です。
3.JICDAQやJAAの理念を理解するメリットとは?
JICDAQが設立されたのは、デジタル広告で巻き起こる変化に対応できる仕組みを作り、アドフラウドといった問題を解消するためです。今までJAAといった団体もデジタル広告業界で啓蒙などを行ってきましたが、アナログ広告も活動範囲に含まれており専門的にデジタル広告へのみ対応しているわけではありませんでした。今後はJICDAQの活動によって、よりデジタル広告市場の適正化が進んでいくでしょう。またJAAが母体の1つとなっていることから、アドバタイザー宣言も意識した活動が行われていくことが推察されます。
JICDAQもJAAも、
- 広告市場の不正を解消する
- ステークホルダーへ情報を提供してリテラシーを向上させる
といった点では活動内容は同じです。それぞれの団体の特徴や活動内容などを理解することで、今後デジタル広告などで何が求められるのか適切に理解しやすくなるでしょう。
4.まとめ
今回はJAAの概要やアドバタイザー宣言の内容などを中心に解説を行ってきました。
JICDAQの活動理念に、母体の1つであるJAAのアドバタイザー宣言がかかわってくるであろうことは予想できます。今後もJICDAQ・JAAなどの活動を追うことで、デジタル広告業界の動きを確実に理解できるようになるでしょう。
広告主として出稿する際はアドバタイザー宣言に目を通しておくと安心です。ポリシーに違反していそうな出稿プロセスがあった場合は、広告パフォーマンスを安定させるためにも改善を行ってみてください。