AI搭載の新しいBingとは?特徴をご紹介

検索エンジンでは「Google」が国内外でトップシェアを獲得しています。ただし2番手に扱われるような存在として、Windows OSなどへ最初から搭載されている「Bing」も人気です。

Bingではよりユーザーの疑問へ即した回答を行えるようにするため、AI搭載と称してデザインまで含めた大幅なアップデートを実行した画面を新規で導入しました。AIの機械学習により回答精度向上だけでなく、さまざまなメリットを得ています。

今回はBingのアップデート内容や、競合となるGoogleの動きなどをご紹介していきます。

1.そもそもBingとは何か?

Bingとは、マイクロソフトが提供している検索エンジンです。同社のOSであるWindowsに最初から利用できる検索エンジンとして登録されているため、Googleほどではありませんが利用しているユーザーは多いです。また国によってシェアが異なっており、企業施策としてBingをベースとしてSEO対策を行うケースがあるのもポイントになっています。

キーワードを入力して検索を行うのはGoogleと同じですが、検索に使える条件や表示デザインに少々違いがあります。また検索情報を処理したり表示したりするアルゴリズムはGoogle、Yahooと異なっているため、同じ検索条件でも違う情報が提示されるケースがあるのもポイントです。気になる方は実際に触って違いを確かめてみてください。

2.AI搭載でBingの何が変わったのか

ここではAI搭載でBingの何が変わったのか解説していきます。

大幅なアップデート前からAI機能導入が進んでいたBing

実は大幅なアップデートの前から、マイクロソフトはBingのAI面での機能強化を図っていました。

たとえば2022年10月12日には、「Image Creator from Microsoft Bing」という機能を導入しています。この機能では画像検索において適切なデータが見つからなかった場合、BingがAIを活用して希望通りの画像を作成してくれるのが特徴です。画像作成に関してはコンテンツポリシーなどを設けており、フィルタリングすることで公序良俗に反する内容を作成しないように工夫しています。

一部の地域で検証を行いながらフィードバックによる改善を進めるとしており、今後Bingの大幅アップデートとともに活用場面が増えていくかが注目されます。

2023年2月7日、Bingが大幅アップデート

2023年2月7日、Bingが大幅アップデートされました。これに伴いBingのまったく新しい検索機能が追加されており、またデフォルトでBingを検索エンジンとしているWebブラウザー、「Edge」の仕様も変更されています。ちなみに従来のBingも使用可能となっており、新しいBingを使う際はBingのトップページからテストページへアクセスすることが利用が可能です。

新Bingには次のような特徴があります。

AIのベースにはOpenAI社のプラットフォームを採用

今回の新Bingには、AIの機械学習が導入されています。

ベースとなったのはOpenAI社のプラットフォームであり、これは近年トレンドとなっている「ChatGPT」にも採用されているのがポイントです。ChatGPTは質問を入力すると自然な文章形式で回答してくれるツールであり、創作物の作成といった場面でも活用できます。

ただし新BingはChatGPTと同じAIプラットフォームで動作するようになってはいますが、独自の工夫を行いその精度等を向上させています。

たとえばマイクロソフト社独自の「Prometheus」を同時搭載しており、ChatGPTとは差別化を図っているのが特徴です。また学習データに関してはBingベースであるがゆえに最新情報まで参照可能であり、2021年以降のデータが加わっていないChatGPTと比較するとよりトレンドに沿った回答が得やすいのもポイントになっています。

さらに得られる回答に関しては参考にしたリンクがいっしょに提示されるようになっており、情報ソースを調査しながらチャット回答の信ぴょう性を確かめやすいのもメリットです。

チャットベースで検索・回答が実行されるようになった

新Bingにおいては、まずチャットベースの検索・回答を行うようになったのが大きな変更点です。

今までは他のWebブラウザーと同じように検索窓へキーワードを分割して入力、欲しい回答をインターネット上から探すという方式を取っていました。これが変更となり、チャット形式で疑問を入力するとそれに応じてインターネットから情報を収集、会話形式で文章の回答を返してくれるのがポイントです。

文章形式で質問ができるように

疑問に関してはキーワードで分割せずとも、文章形式でそのまま思ったことを書けばよいのがメリットになっています。

日本語といった言語では英語のようにはっきりした区切りを検索エンジンへ認識させるのが大変で、文章形式で質問するのが大変でした。こういった入力の手間が削減される仕様を、新しいBingでは採用しています。

自然な回答が返ってくるようになった

回答が文章形式で自然に返ってくるのもポイントです。

従来のBingでは複数の記事リストを提示して、そこからアクセスを行い疑問を順次解決してもらう形式をとっていました。他の検索エンジンでも似たようなものですが、それが変更となりインターネットから疑問の解消に沿えるような回答を探し、それを加工して文章提示する形式が採用されています。ユーザーは記事リンクから複数の文章を参考にしなくても、一発で希望の回答を得られる可能性が上がっています。

ちなみに文章形式だけでなく、入力内容によっては表といったデータが返ってくることがあるのもポイントです。こういった回答に関するデータ提示の柔軟性も、新Bingの持ち味となっています。

3.Bingと競合するGoogleの動きはどうなっているか?

新Bingのように文章形式で自然な回答を返してくれるAIプラットフォームを、「ジェネレーティブAI」と呼びます。こういったジェネレーティブAIにはGoogleも注目しており、取組を進めています。

たとえば2023年2月6日と新Bing発表と近い日に、会話型のAIツール「Bard」を発表しました。Googleでは対話式で回答できたりする言語モデルを研究していましたが、Bardにはその成果が搭載されています。

現在の検索ニーズでは、「AかBかどちらを選んだほうがよいのか、また選択する際にどれくらいハードルがあるのか」といった決まった回答ができない内容へ対応してほしいという考えがあります。従来の検索エンジンではこういった複雑な回答へ対応するのは難しいですが、Bardでは根拠も提示して判断材料を提供してくれるのがポイントです。将来的にはGoogleの検索エンジンに導入される展望もあります。

ただし新Bingと違ってAIによる会話形式ツールを別サービスとして提供したこともあり、反響はすぐ使えるBingと違って比較的小さくなっています。今後Bingのように画期的な検索エンジン機能をGoogle内で提供して、マイクロソフトへ追いつけるかが焦点となってくるでしょう。

4.まとめ

今回はBingのアップデート内容や、競合となるGoogleの動きなどをご紹介してきました。

BingはGoogleよりシェアが小さいですが、AIを搭載して会話形式で検索ができるようにしたりとアップデートを行っています。今はまだ検証段階ですが、データが蓄積されて機能が洗練されてくれば今後Bingの基本画面自体が会話形式になってくるかもしれません。

またGoogleといった競合も、AIの検索エンジンへの活用に着目しているのもポイントです。ぜひAI×検索エンジンの最新情報を自分でもチェックしてみましょう。