TikTokは今勢いのあるSNSプラットフォームですが、SNS分野以外でも存在感を高めています。たとえばアメリカの「Kochava」と提携を行い、マーケティングパートナーとして協力していくことを明らかにしたのもポイントです。
この提携は「SKAdNetwork」という単語とも強いかかわりがあります。個人情報保護などがインターネットで叫ばれている中、両者の提携が広告市場へどのような影響を及ぼすのかが注目されるでしょう。
今回はTikTokとKochavaの提携の概要やその意義などをわかりやすく解説していきます。
関連記事:最近話題のTikTok(ティックトック)の運用広告って実際どうなの?
1.TikTokとKochavaとは?1つずつ解説
まずはTikTokとKochavaについて概要を解説していきます。
TikTokとは
TikTokとは、中国発の短尺動画を投稿して配信できるSNSプラットフォームです。ユーザー層の拡大などに伴い、SNSマーケティングで利用する企業も増えてきました。
TikTokには
- AIを活用しておすすめフィードへ動画を表示する
- 拡散が発生しやすいように企画などを用意している
といった特徴があり、最近ではTikTokで宣伝された商品・サービスが一気に売上を伸ばす「TikTok売れ」という現象も起きています。今後も安定して成長を遂げれば、TwitterやFacebookなどに並ぶSNSツールになってくるかもしれません。
Kochava
Kochavaとは、企業のマーケティングサポートなどを行っている企業です。アメリカのアイダホ州に本拠を構えており、広告主・パブリッシャー双方に力を与えられるサービスを提供中です。
代表的なサービスはマーケティング担当者向けOSである「m/OS」になります。測定やデータ管理などを統合して実行できるシステムです。
またKochavaは、日本とも結びつきを強めています。たとえば2020年6月には日本の広告団体である「JIAA」に加入して、アジア太平洋地域(APAC)内での自社の存在感を向上できたと公表しました。今後もプライバシー・ファーストのプロバイダーとして日本や世界中で活躍してくれるでしょう。
2.TikTokとKochavaはなぜ提携した?SKAdNetworkがカギ
TikTokとKochavaが提携したのは、今後「SKAdNetwork」が広がりを見せていく中で対応する必要があったからです。
SKAdNetworkとはAppleのiOS14の発表に伴い公表されたトラッキングソリューションのことです。従来の広告識別子である「IDFA」を活用しない、プライバシーを考えたトラッキングツールの総称として使われます。
実はiOS14の発表以前から提供はされていましたが、当初はメリットがあまりないので使われていませんでした。しかしAppleの方針変更によって、使わざるを得なくなったことで注目されるようになっています。
Appleは「ATT(App Tracking Transparency)」の適用によって、広告識別子を取得する際は事前にユーザーへ許可を取るようアプリ提供者へ義務付けるようになりました。以前はオプトアウト方式でユーザーが後で拒否できるようにしておけば問題ありませんでしたが、この対応によってオプトイン方式であらかじめ許可を取ってからトラッキングする必要が出てきました。事前に許可を取ろうとするとどうしても拒否しようとするユーザーが増加します。また近年のプライバシー意識の高まりも拒否率の高さに影響しています。
広告識別子が利用できなくなるとトラッキング精度の低下へつながります。モバイルアプリにおけるリターゲティング広告は従来広告識別子を中心として配信されていたからです。コンバージョンが発生したメディアやインストールしたユーザーといった情報の取得が難しくなることなどが、懸念点として挙げられるでしょう。
SKAdNetworkの活用は、広告識別子制限への対応策になります。広告識別子に依存しないトラッキングができますし、Appleが利用を公式に認めているからです。最初からSKAdNetwork対応のツールを使えば今後使用不可能になる、といったリスクは避けられるでしょう。
ただしSKAdNetworkには次のようなデメリットもあります。
- プライバシーを確保するために計測範囲が限定されている
- アドネットワークによっては対応していない可能性がある
- Webサイトに広告を掲載する場合トラッキングができない
プライバシーを保護する観点から、対応のツールは計測範囲が限定されます。インストールした具体的なユーザー情報は取得が難しいです。
またアドネットワークによっては対応していない可能性があるので、自社で使っているネットワークがSKAdNetwork対応を公表しているか調べる必要があるでしょう。アプリに掲載メディアが限定されるので、Webサイトメディアには使えないといったデメリットも忘れないようにしておきましょう。
ちなみにATTやSKAdNetworkなどはAppleが推奨している技術なので、Apple自体の方針転換によってトラッキングに関する決まりが今後変化する可能性もあります。気になる方はぜひAppleの広告における最新動向を定期的に調査して、マーケティングへ活かしてみましょう。セミナーに参加して関連の情報を集めてみるのも有効でしょう。
3.TikTokやKochavaの最新情報はどうやって調べる?SNSも活用しよう
TikTokはKochavaとの提携によって、次のようなことができるようになったと公表しています。
- Kochavaのコンバージョン値モデルをデータを提供することでサポートする
- 広告主の重要な指標に合わせてモデルを設定する
- TikTok Ads Manager内へ、iOS 14以上のユーザー向けのキャンペーン機能を用意
売上確保といった目標のある広告主に対しては、専用キャンペーンを立ち上げた上でTikTokとKochavaのコンサルタントがSKAdNetworkのレポートを理解できるようにサポートしてくれます。
ちなみに「TikTokやKochavaの最新動向をチェックして広告運用へ活かしたい」と考えられている場合は、まず
- 公式サイト
- プレスリリース
といったメディアで最新情報を確認してみるのをおすすめします。特にプレスリリースは企業・サービスが注目してほしい情報をリアルタイムで流してくれるので閲覧してみるとよいでしょう。
またTikTokの公式文章は日本語化されていることが多いので読みやすいですが、残念ながらKochavaの公式文章は日本語化されていない場合も多いです。たとえばKochavaの公式サイトでは日本語も使われていますが、基本は英語であり最新情報が発信されていても読みづらいというデメリットがあります。
ただし公式Facebookは日本語で提供されているので、多少情報を理解しやすいです。Facebookを始めとしたSNSでも、Kochavaの最新情報を読んでみてください。
4.まとめ
今回はTikTokとKochavaの提携の概要やその意義などをわかりやすく解説してきました。
TikTokとKochavaが提携したことで、TikTokの分析プラットフォームでもAppleが提唱しているSKAdNetworkへ対応できるようになりました。トラッキングが難しくなってくる今後も、TikTokの分析プラットフォームなどを使えば精度を落とさずに広告配信ができる可能性が高いです。
また最新の広告動向へ対応できるように、情報を定期的に読み解いてマーケティングの参考にしてみる癖を付けておけると安心です。