Shopifyとは?自社ECサイトを成功に導くプラットフォーム選びのポイントと比較

インターネットの普及とともに、ECサイト(オンラインショップ)市場は年々拡大を続け、さまざまな企業が自社の商品やサービスをオンラインで販売することが一般的になっています。特に、COVID-19の影響で対面販売が難しくなった時期には、多くの企業がオンライン販売に乗り出し、EC市場の重要性がさらに増しました。

そのため、自社でのECサイト構築を検討する企業も増えており、初めてEC事業に取り組む事業者や、小規模事業者にとっても敷居が低くなってきました。しかし、自社でECサイトを構築する場合、どのプラットフォームを利用すべきか悩むことも多いでしょう。

特に、昨今注目されている「Shopify」は、世界中で多くの企業に採用されている人気のプラットフォームです。その一方で、「Shopifyが本当に自社のビジネスに適しているのか?」と疑問に感じることも少なくありません。

本記事では、Shopifyの特徴やメリット・デメリットを中心に、自社に最適なECカートシステムを選ぶためのポイントについて解説します。Shopifyがどのようなビジネスに向いているかを理解し、自社に適したプラットフォームを見極める手助けになれば幸いです。

目次

1. Shopifyとは?

Shopify(ショッピファイ)は、カナダ発のクラウドベースECプラットフォームで、初心者からプロまで幅広いユーザーに利用されています。2006年に設立され、世界中のビジネスで導入が進んでおり、現在は世界170か国以上で100万を超える店舗がShopifyを活用しています。日本国内でも、シンプルで使いやすい点や多様な販売機能が評価され、多くの中小企業やスタートアップが利用しています。

Shopifyの特徴は、その操作の簡単さと多機能さにあります。クラウド型のサービスであるため、自社サーバーを用意する必要がなく、ネット環境があればどこからでも管理が可能です。サブスクリプションモデルで月額利用料を支払うことで、常に最新の機能やセキュリティが提供されるのも魅力です。

これにより、専門知識がなくても素早くオンラインショップを構築し、運営できるため、初めてのECサイト立ち上げを考えている企業にも適しています。

2. Shopifyのメリット

導入の手軽さ

Shopifyは、他のECサイト構築サービスと比べても導入が容易で、専門的な知識が不要です。サインアップ後、テンプレートを選んで必要な設定を行うだけで、短期間で自社のオンラインショップを開設できます。また、初期費用が抑えられる点も中小企業にとって大きなメリットです。

デザインの柔軟性と多様なテーマ

Shopifyは多種多様なテンプレート(テーマ)を提供しており、ビジュアルの面でもプロフェッショナルなデザインを実現できます。無料テーマから有料テーマまで豊富な選択肢があり、デザインをカスタマイズすることでブランドに合ったECサイトを作りやすくなっています。

拡張機能の豊富さとアプリの活用

Shopifyのアプリストアには、ECサイト運営に役立つアプリが豊富に揃っています。商品管理、顧客管理、SEO、マーケティングツールなど、さまざまな分野の機能を簡単に追加できます。たとえば、レビュー機能、メールマーケティング機能、SNS連携機能などもアプリで手軽に導入できます。

マルチチャネル販売対応

Shopifyは、SNS(InstagramやFacebookなど)、オンラインマーケットプレイス(Amazonなど)、実店舗との連携も可能で、マルチチャネルでの販売をサポートしています。この機能を活用することで、販売機会を増やし、複数のチャネルから顧客を獲得することができます。

3. Shopifyのデメリット

手数料やランニングコストの注意点

Shopifyには月額料金に加え、決済にかかる手数料やアプリ追加に伴う料金が発生します。特に売上規模が大きくなると、手数料がコストとして負担になりやすく、運用費用がかさむ可能性があるため、ビジネス規模に応じた費用計算が必要です。

カスタマイズの制限

Shopifyはプログラミングの知識がなくても使いやすい反面、細かなカスタマイズが必要な場合はコードの編集が必要になります。独自の「Liquid」というテンプレート言語を用いるため、専門的なカスタマイズが求められる場合は、開発者のサポートが必要になる場合があります。

日本国内のサポート体制

Shopifyは海外企業であるため、日本語サポートは整備されつつあるものの、国内企業向けの手厚いサポートが得られにくい点があります。日本時間におけるリアルタイムのサポートがない点や、国内向け機能の制約がある点も考慮に入れるべきです。

4. Shopifyと他の自社ECカートの比較

Shopifyと他の主要プラットフォームの比較

Shopifyの他にも、BASEやMakeShop、EC-CUBEといったECプラットフォームがあります。これらのプラットフォームは、それぞれ異なる特徴や機能を持っており、規模やビジネスモデルに応じて選択することが重要です。

BASEは無料で始められ、シンプルな管理画面が特徴で、個人や小規模ビジネスに適しています。MakeShopは、大規模かつ専門的なカスタマイズができる点で国内でも利用者が多く、EC-CUBEはオープンソースで高度なカスタマイズが可能です。Shopifyは、クラウドベースで多機能かつグローバルな展開を意識した機能が特徴となっています。

5. Shopifyが向いているビジネスの特徴

Shopifyは、小規模から中規模のビジネスや、スピーディーにECサイトを立ち上げたい企業に最適です。

特に、多言語・多通貨対応機能に優れており、海外展開を視野に入れたビジネスや、複数チャネルでの販売を考えている事業者にとって有用です。マーケティングやSNSを活用しながらECサイトを成長させたいと考える場合も、Shopifyの拡張性は大きなメリットになります。

6. Shopifyを導入する際の注意点

Shopifyを導入する際は、契約プランの選定が重要です。プランによっては利用できる機能が異なるため、自社に必要な機能を把握した上で適切なプランを選ぶ必要があります。また、セキュリティや運用コストに関しても事前に検討し、実際の運営における費用感を把握することが重要です。

7. Shopify導入の手順と流れ

Shopifyを使ったECサイトの立ち上げは、直感的な操作で進められるよう設計されていますが、初めての方でもスムーズに進められるよう、ここでは具体的な手順を詳しく解説します。

1. アカウント作成とプランの選択

Shopify公式サイトにアクセスし、まずはアカウントを作成します。初回は14日間の無料トライアルを利用できるため、試用期間中に実際の操作感を確認しつつ進めるのがおすすめです。アカウントを作成したら、ショップ名やビジネスに関する簡単な情報を入力します。
トライアル期間中にも契約プランを確認できますが、最初は「Basic Shopify」プランからスタートすることが一般的です。

2. テーマの選択とデザインカスタマイズ

アカウント作成後、次にショップの「テーマ」(デザインテンプレート)を選びます。Shopifyには無料・有料を含む豊富なテーマが揃っており、ビジネスのイメージに合ったデザインを選択できます。有料テーマは見栄えやカスタマイズ性が優れており、特にブランディングが重要な場合には有効です。
テーマを選んだら、色やフォント、ロゴなどの調整を行い、ブランドに合わせてデザインをカスタマイズします。テーマエディタを使って簡単にビジュアルの変更ができ、必要に応じてHTMLやCSSの編集も可能です。

3. 商品情報の登録

ショップの基本デザインが整ったら、販売する商品の情報を登録します。商品ページには、以下の要素を入力することが重要です。

  • 商品名:検索されやすく、商品を正確に表す名前を設定します。
  • 商品説明:商品の特徴や価値をわかりやすく伝える説明文を作成します。検索エンジン最適化(SEO)を意識して、関連するキーワードを自然に盛り込みます。
  • 価格と在庫情報:価格設定と在庫数を入力し、売り切れ時の対応も検討します。
  • 画像:商品のイメージを伝える高品質な画像を複数掲載します。

4. 決済方法の設定

Shopifyでは、Shopify Paymentsをはじめ、PayPalやクレジットカード決済、外部の決済サービス(Stripe、Amazon Payなど)を利用できます。Shopify Paymentsは、利用すると手数料が軽減されるため、シンプルに決済運用をしたい場合にはおすすめです。また、利用する決済方法によって手数料が異なるため、事前に確認しておくと良いでしょう。

5. 配送方法の設定

続いて、商品の配送設定を行います。配送エリアや送料の設定は、商品やターゲットとする顧客に応じて柔軟に対応する必要があります。
Shopifyでは、配送業者の選択(日本国内の場合は日本郵便やヤマト運輸など)、送料の自動計算機能も利用可能です。また、エリアごとに異なる送料を設定したり、一定額以上の購入で送料無料とするプロモーションも設定できます。

6. 税率の設定

販売する商品によっては、税率の設定が必要です。Shopifyは、日本国内の税率設定にも対応しており、販売国ごとに異なる税率を適用できます。たとえば、国内向けの販売と海外向けの販売では税率が異なる場合があるため、商品ごとに税率を設定することが可能です。

7. ドメインの設定

デフォルトでは「***.myshopify.com」というShopifyのサブドメインが使用されますが、独自のドメインを使用することで、ブランドの信頼性を高めることができます。Shopify内でドメインを購入することも可能ですし、既に所有しているドメインを接続することもできます。ドメイン設定はブランド認知を高めるだけでなく、SEOにも好影響を与えます。

8. アプリの追加(必要に応じて)

Shopifyのアプリストアには、多様な機能を追加するアプリが揃っています。例えば、レビュー機能やSNS連携、マーケティングツール、分析ツール、カート放棄防止機能などが提供されており、ビジネスニーズに応じて活用できます。アプリの追加で、標準機能にはないカスタマイズが可能になるため、サイト運営に必要な機能はアプリで補うと良いでしょう。

9. 公開前のテスト

サイトが完成したら、公開前にすべての設定や機能をテストします。具体的には以下の項目を確認します:

  • 決済機能:テストモードを利用して、決済が正常に完了するか確認します。
  • 注文フロー:商品ページからカートへの移動、注文完了までの流れがスムーズかを確認します。
  • デバイス表示確認:PC、スマートフォン、タブレットでの表示が崩れていないか確認します。

問題がないことを確認したら、ショップを公開します。

10. 公開後の運用サポートとデータ分析

サイト公開後も、集客や販売促進の施策を継続することが重要です。Shopifyには、売上データや訪問者数、人気商品などを把握できる分析機能が標準で備わっており、これを活用してサイト運営を最適化できます。また、アプリやマーケティングツールを活用して集客施策を行うことで、アクセス数や売上を伸ばすことが可能です。

8. Shopifyを選ぶべきか?自社の要件に合ったECプラットフォームの選び方

Shopifyは、クラウド型で運用がしやすく、機能も豊富なため、多くのビジネスに適していますが、ビジネス規模や目的によっては他のプラットフォームが適している場合もあります。自社の予算、必要なカスタマイズの自由度、販売対象国などを基に、他のプラットフォームと比較して最適なものを選ぶことが成功のカギとなります。

9. まとめ

本記事では、Shopifyの概要やメリット・デメリット、他のプラットフォームとの比較を通して、自社に適したECプラットフォーム選びについて解説しました。自社のビジネスに最適なプラットフォームを選択することで、スムーズなEC運営が可能となり、売上拡大やブランディングに貢献します。

Shopifyが自社に適していると判断できた場合、ぜひ導入を検討してみてください。