「アトリビューション」とは貢献度を表しますが、近年広告分野ではアトリビューションの重要性が高まっています。ユーザーの行動が複雑・多様化する中で、直接のコンバージョンへつながっていないタッチポイントの貢献度も把握しないと広告運用を最適化しにくくなったからです。
代表的な広告プラットフォームである「Yahoo!広告」でも、「アトリビューションモデル比較レポート」というアトリビューション計測用の新機能が提供開始されました。今回はYahoo!広告のアトリビューションモデル比較レポートの概要や種類などを解説していきます。
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1.Yahoo!広告アトリビューションモデル比較レポートとは?
Yahoo!広告のアトリビューションモデル比較レポートとは、「アトリビューションに基づいて広告の重要性を計測、適切な戦略立案へつなげられる機能」です。利用者は貢献度を自由に配分して計測・分析できるようになっています。
Yahoo!広告運用時は、複数のキャンペーンや広告を利用して購入といったコンバージョンを達成するケースが多いです。その際横断して各キャンペーン・広告の貢献具合を調べられないと、
- 個別にしか計測できず分析が非効率になる
- 重要なキャンペーン・広告のタッチポイントを見逃してしまう
といったデメリットが出てきます。
以前はコンバージョンにつながる直前のタッチポイントさえ計測・分析できていれば問題ありませんでしたが、現在では直接のコンバージョンにつながったキャンペーン・広告だけを重要視するのはよくありません。複数のタッチポイントを通過することでユーザーがコンバージョンを発生させるケースが増えてきているからです。Yahoo!広告ではこういったコンバージョン経路の複雑化へ対応するために、新機能としてアトリビューションモデル比較レポートの提供を開始しました。
ちなみに広告においてどのタッチポイントがどれくらい重要なのか、また実際にどれくらいコンバージョンへ貢献しているのかは異なってきます。そこでYahoo!広告利用者としては、まずアトリビューションの配分具合を調整した上で計測を行う重要性を理解しておく必要があるでしょう。
2.Yahoo!広告 アトリビューションモデル比較レポートの種類!指標もわかりやすく解説
Yahoo!広告のアトリビューションモデル比較レポートには、次の4種類があります。ユーザーは下記4種類から2種類を選択して計測を行えるように設定を完了させる必要があります。
ラストタッチ
従来の計測手法と同じく、最後のタッチポイントに貢献度を大きく割り振るモデルです。検討・利用までの工程が少ないといったケースではおすすめできるモデルになっています。
計測初心者でも最後のタッチポイントを中心に広告パフォーマンスを計測できるため、簡単に分析ができるメリットがあるでしょう。ただし間接的なタッチポイントの重要度を計測しにくいデメリットもあります。
- ECサイト
- 旅行予約サイト
といったコンテンツの広告出稿に適しているので覚えておいてください。
ファーストタッチ
ラストタッチとは対照的に、最初のタッチポイントを重要視して貢献度を割り振るモデルです。初回のタッチポイントが後ほどのコンバージョンへつながりやすいビジネスに適しているアトリビューションモデルになっています。
認知段階のユーザーへどれだけ広告が効果を発揮したか計測しやすいのがポイントです。またこちらもラストタッチと同じく1か所へ集中して分析ができるため、分析がしやすいのがメリットです。ただしコンバージョンに直結したタッチポイントを計測するのが難しい、といったデメリットもあります。
- 輸入車販売
- ラグジュアリー販売
といったブランドが重視されるビジネスの計測にはファーストタッチモデルが適しています。
線形
すべてのタッチポイントへ均等に貢献度を割り振るモデルです。検討期間が長くそれぞれのタッチポイントが同じくらい重要な場合に適しているモデルになっています。
各段階におけるタッチポイントを平等に計測して施策を打てるようになるのがメリットです。反面複数のタッチポイントを計測する必要があるため若干分析が面倒、一定量データが収集できないと分析の精度が落ちてしまうといったデメリットもあります。
- 保険
- 人材
といったサービスは各タッチポイントが同じくらい重要のため、線形モデルを活用するにはぴったりのビジネスです。
接点ベース
最初と最後のタッチポイントへ、重要度を高く割り振るモデルです。検討といった中間の段階よりも、認知段階と購買段階の間に強い関係性があるケースで利用したいモデルとなっています。
認知段階と購買段階に重点を置いてデータ収集や分析ができるメリットがあります。ただし中間のタッチポイントに重点を置けない分、中間段階の重要なアクションを見逃してしまうリスクがある点には注意が必要です。
- 飲料
- アパレルブランド
といったビジネスでは認知と購買の段階が重要なため接点ベースモデルの利用をおすすめします。
アトリビューションモデル比較レポートで取得できる指標
アトリビューションモデル比較レポートで取得できる指標は以下の通りです。
- コンバージョン数への貢献度:指定したモデルごとに算出
- コスト/コンバージョン数への貢献度:CPAに関する貢献度
- コンバージョン価値への貢献度:売上といったコンバージョン価値への貢献度
- コンバージョン価値/コストへの貢献度:コストに対して得られた価値への貢献度
- 変化率への貢献度:比較元と比較先の違いを変化率として表示
気になる点がある場合は、Yahoo!広告のお客様サポートへ相談して解決してみてください。弊社もYahoo!セールスパートナーとしてご協力いたします。
3.アトリビューションモデルはGoogle広告でも使える!Yahoo!広告との違いとは
アトリビューションモデルの設定や計測は、Yahoo!広告独自のものではありません。すでに競合となるGoogle広告では、アトリビューションモデルを利用して計測ができるようになっています。
Yahoo!広告とGoogle広告のアトリビューションモデル計測機能には次のような違いがあります。
Yahoo!広告ではビュースルーを含むがGoogle広告では含まない
Yahoo!広告ではアトリビューションモデル計測の際、表示だけされた場合(ビュースルーが発生した場合)もデータが収集されます。ただしGoogle広告ではビュースルーは含まれずクリックといったアクションのみデータ収集されてアトリビューションモデルへと反映されます。
Yahoo!広告では「クリックされたコンバージョンのみを抽出する」といったことができないので注意してみてください。
Google広告のほうがYahoo!広告より選べるアトリビューションモデルが多い
Yahoo!広告ではアトリビューションモデルが4つ用意されていますが、Google広告では合計6種類のアトリビューションモデルが用意されています。
- ラストクリック
- ファーストクリック
- 線形
- 接点ベース
- 減衰
- データドリブン
減衰モデルは最初のタッチポイントに近いほど貢献度を低く、最後のタッチポイントへ近いほど貢献度を高くするモデルです。またデータドリブンモデルでは過去のデータに基づいて貢献度が割り振られるのが特徴であり、ある程度データが蓄積されないと線形モデルに変更されて計測が行われます。
Yahoo!広告とGoogle広告のアトリビューションモデルの違いも理解しながら、上手く活用を行ってみてください。
4.まとめ
今回はYahoo!広告のアトリビューションモデル比較レポートの概要や種類などを解説してきました。
Yahoo!広告のアトリビューションモデル比較レポートを活用すれば、自動的に重要なタッチポイントを計測してアトリビューションに基づいた分析が可能になります。ビジネスモデルによっても選ぶべきアトリビューションの配分モデルは異なってくるので、4つのモデルから注意して計測したいモデルを設定してみてください。
またGoogle広告を活用する際もアトリビューションの配分が重要になるので、Yahoo!広告との違いも含めて理解を行っておきましょう。