目的によって適切なコストの発生ポイントは異なる
広告のパフォーマンスを最大化するには、課金形式にも気を遣う必要があります。どんな目的を達成したいかによって適切なコストの発生ポイントは異なるからです。従来の課金形式に加え、現在では新たなタイプの課金型広告も登場しているのがポイントです。
これから広告を出稿する場合は、課金タイプを理解した上で自社に合った形式の課金型広告を出稿できるようにしておきましょう。今回は課金型広告の種類について知りたい方向けに、代表的なタイプや新しいタイプなどについて解説していきます。
1.課金型広告の種類は実に様々
課金型広告には実にさまざまな形態があります。
・広告が表示される
・動画広告の指定再生時間が経過する
・アプリのダウンロードおよびインストールを行う
・企業側が指定したエンゲージメントをユーザーが達成する
といったさまざまな条件によりコストが発生します。
間違った課金タイプで広告を出稿してしまうと上手く目的を達成できず、コストだけが無駄に掛かってしまう危険性があるので要注意です。
課金型広告を出稿する際は、
・商品やサービスの認知拡大をしたい
・商品やサービスを比較検討してもらいたい
・商品やサービスの購入までいってほしい
といった目的を明確にした上で適切な広告を決める必要があります。
2.CPI・CPC・CPE広告とは?
CPI広告
CPI広告とは「アプリのインストールが発生するたびに費用が発生する広告」です。従来一般的なアプリの課金型広告として利用されてきました。
アプリのインストールが発生した時点で費用が発生するので、広告の表示だけでは費用が掛かりません。このため「アプリのインストールをタッチポイントとしてユーザーを新規獲得したい」という企業に向いている課金型広告です。ポイントサイトやゲーム攻略メディアなどでもCPI広告がよく使われてきました。
ただしCPI広告は、インストール数を水増ししてアプリストアでの評価を上げようというグレーな施策にも悪用されていました。そこで現在では規制が進み、CPIでインストール数を増やしてもアプリストアの評価には直接影響しないようになっています。
また近年CPI広告の出稿数が増加して広告単価が上がっているのもポイントです。正しい運用を行わないと、インストールだけでユーザーが逃げてしまうだけでなくコストも増加してしまうのがネックになっています。
CPC広告
CPC広告は「広告がクリックされるたびに課金されるタイプの広告」です。Web広告として歴史の古いバナー広告に多用されている手法です。
広告をクリックしてユーザーが遷移先のLPなどを閲覧するとコストが発生します。CPIと同じくクリックされなければ広告費用が発生しないので「とりあえずクリックした後のコンテンツを閲覧してほしい」と考えている方におすすめです。
CPCがユーザーに表示されるかは、
・ユーザーの属性と広告に関連性があるか
・入札額をどれくらいに設定しているか
・広告の質はよいか悪いか
といった指標で決定します。
よって広告関連性や入札額の適切な設定の他に、広告クリエイティブを継続して改善していく視点も必要となります。ただし、クリックしたユーザーがすぐコンバージョンへつながるとは限りません。CPC広告を利用する際はリターゲティング広告も併用しながら、ユーザーに上手くアピールを行う工夫が必要です。
CPE広告
CPE広告とは「エンゲージメントをユーザーが達成するたびに課金される形式の広告」です。CPI広告に代わりポイントサイトやゲーム攻略サイト、さらにはマンガアプリなどでも掲載が増加しつつある広告タイプになります。
CPE広告では
・投稿に対するいいね !
・投稿のリツイートやシェア
が行われたらコストが発生するものの他に
・チュートリアル完了
・プレイ回数5回突破
といったように自由に企業がエンゲージメント内容を設定可能なものもあります。ユーザーが継続的にアプリに対して興味を抱けるような地点をエンゲージメント設定することで、効率よくアクティブ率や課金額などを伸ばせるようになります。
弱点は適切なエンゲージメントを設定しないと効果が薄れる点です。自由度が高い分、十分に運用を行い、データを収集しながら適切なエンゲージメントを見つけ出す必要があります。
3.最近話題のロングCPEリワード、マルチCPEリワードとは?
CPE広告においては次の2種類のリワード広告も広まりつつあります。
ロングCPEリワード広告
ロングCPEリワード広告とは、CPEリワード広告において
・第3章突破
・レベル30突破
といったように従来より深い地点にエンゲージメントを設定する広告手法です。
従来のCPEリワード広告では浅いエンゲージメント設定により、ユーザーの継続が続かないケースもあるのがネックになっていました。ロングCPEリワード広告ではゲームをある程度やり込んだ際に高いリワードをユーザーへ付与することで、ユーザーの離脱を防ぎながら効率よく収益へとつなげやすくなるのがメリットです。
ただし深すぎる地点にエンゲージメントを設定すると、返って結果が悪くなってしまう可能性もあるので注意しましょう。また浅いエンゲージメントを設定するCPE広告と比較して、どうしても達成条件が難しいため獲得母数が減少してしまうのも課題です。
マルチCPEリワード広告
マルチCPEリワード広告とは複数のエンゲージメントを設定して計測を行う広告手法です。サービスによっては「ステップアップリワード」と表現している場合もあります。
マルチCPEリワード広告はロングCPEリワード広告との併用で真価を発揮します。
たとえば
・第1段階ではチュートリアル突破
・第2段階ではレベル20突破
・第3段階ではレベル30突破
といったように段階ごとにリワードを付与する設定にすることで、アプリに対する興味の浅いユーザーも深いユーザーも集客しながら継続利用につなげられるのがメリットです。
またマルチCPEリワード広告では設定したエンゲージメントごとの遷移率を計測可能です。たとえば「ステップ1からステップ2への転換率が10%しかない」と計測できれば、転換率を上げるためにポイント付与数を上げたりハードルを下げるなどの施策を打って改善ができます。
さらに継続率や課金額などの向上を握る「マジックナンバー」の可視化もできるのがポイントです。マジックナンバーを上手く取り込んで施策を行うことで、劇的な効果改善ができる可能性もあるのが魅力になっています。
ただし段階ごとにポイントを付与するため、他広告形式より広告の合計単価が高くなってしまう可能性があります。1段階ごとに100ポイント増やすといった単純な考えではなく、ステップ1と2、3でポイント付与数を意図的に大きく増減させるといった手法でコスト最適化を狙いましょう。
マルチCPEリワードについてもっと知りたい方はこちらの記事もチェックして見てください。
4.まとめ
今回は課金型広告の種類や新しい課金型広告についてまとめてきました。
課金型広告にはCPI、CPC、CPEなどさまざまな形式の広告があります。またCPE広告においてはロングCPEリワード広告やマルチCPEリワード広告などの新しいタイプの課金形式広告が登場しています。
ぜひそれぞれの性質を理解して自社に必要な広告を使い分けられるようになってみてください。