広告業界では、広告アカウントを1つの会社で複数持つことがあります。様々な種類の広告を配信している場合は出し分けの点で便利かもしれませんが、1つ1つ個別に管理しようとすると確認漏れが起きたり、情報の更新トラブルが起きたりするリスクもあるでしょう。
「MCCアカウント」という機能を使うことで、効率よく複数のアカウントを管理できるようになります。今回はYahoo広告にも導入されたMCCアカウントとは何か、設定方法や利用メリットなどをご紹介していきます。
1.Yahoo広告のMCCアカウントとは
MCCアカウントとは「マイクライアントセンターアカウント」の略称です。Yahoo広告特有の機能ではなく、競合でもあるGoogle広告ではすでに導入されていました。
MCCアカウントでは検索広告やディスプレイ広告といった運用中の広告を、アカウントぐるみで統合できる機能です。たとえばA社が
- アカウント1
- アカウント2
- アカウント3
などを持っている場合は、上記3アカウントを1つのMCCアカウントでまとめて管理可能です。
- 広告代理店として複数の企業アカウントを所有している
- 各アカウントの権限管理をまとめたい
- ディスプレイ広告でアカウントをまたいだレポート利用などを行いたい
といったケースで役立つ機能となっています。
2.Yahoo広告のMCCアカウント設定方法!
ここではYahoo広告のMCCアカウント設定方法を解説していきます。「ツール管理者」の権限がないと設定できないので注意してみてください。
また
- 400個まで代理店は作成できる
- オンライン申し込みで利用開始した広告主は1個まで
- 一度に複数のMCCアカウントは作成できない
- 作成済みのMCCアカウントは名称変更は可能だが削除できない
といった条件がある点もチェックしておいてください。
1.作成準備を行う
まずは作成準備を行っていきます。
- 検索広告:「検索広告」タブ→「アカウント管理」タブをクリック
- ディスプレイ広告:「ディスプレイ広告」タブ→右上の「ツール」→「アカウント一覧」をクリック
で次の画面へ移動します。
2.「MCCアカウント作成」を選択する
次に青いプルダウンメニューをクリックして、その中から表示される「MCCアカウント作成」というメニューをクリックします。すると作成画面が表示されるので次の手順へ移行します。
3.任意のMCCアカウント名称を設定する
次に「MCCアカウント名」という項目に、適切な名称を設定していきます。分かりやすい名称が決まったら入力してみてください。
アカウント名は後で変更できるので迷って時間を使い過ぎないようにしましょう。
4.「作成」ボタンをクリックしてメールが届いているか確認する
最後に作成ボタンをクリックして、MCCアカウントの登録を完了させます。成功するとYahoo広告公式からメールが届くので確認してみてください。
ちなみに最近詐欺メールの件数が増えており、Yahoo広告公式を騙るメールが届くことがあります。メールアドレスなどが公式のものか確認してから開くようにしてみてください。
5.MCCアカウントに配下となる企業アカウントを登録する
次に実際に管理する企業アカウントを登録していきます。
既存アカウントを登録する場合
すでに用意しているアカウントを登録する場合は、
- MCCアカウントから既存アカウントへアカウントリンクを申請する
- 申請を受けたアカウントの管理ユーザーが関連付けの承諾・拒否をメールから決めて対応する
- 承諾されれば登録が完了
という手順で管理を行っていきます。各アカウントの管理者へあらかじめメールを送信することを通達しておくと楽です。
新規アカウントを登録する場合
アカウントリンク済みのステータスで、新規アカウントを作成することもできます。アカウントリンクの申請処理は不要です。
- MCCアカウントの管理画面から「広告アカウント追加」ボタンをクリックする
- 検索広告・ディスプレイ広告から対象を選択
- 「新規広告アカウント申し込み」画面に情報を入力する
- 「確認画面に進む」ボタンをクリック、「決定して進む」ボタンもクリック
代理店向けのアカウントを作成した場合は、承認・完了に5営業日掛かるケースもあるので注意してみてください。
3.Yahoo広告のMCCアカウントを利用するメリットとは
Yahoo広告のMCCアカウントを利用すると、次のようなメリットがあります。
運用効率化につながる
通常Yahoo広告の「アカウント一覧」画面では、登録済みの広告アカウントがアカウントごとに全表示されます。アカウントごとに管理すると数が多くなり面倒になるリスクがあるでしょう。
しかしMCCアカウントを活用すると、各広告アカウントをMCCアカウント配下で分割しながらまとめて管理できます。結果的にMCCアカウント単位で管理することによって、アカウント別に管理するよりも広告運用を効率化できるのがメリットです。
ちなみに他企業の広告アカウントを関連付けることもできます。
権限管理に無駄がなくなる
このメリットは複数の企業アカウントを管理する業務に就いている方が受けられます。
仮に
- 企業A
- 企業B
- 企業C
の3つの企業のアカウントを管理している場合、各企業ごとにさらにアカウントが枝分かれして管理が面倒になるケースがあります。その場合「A社のアカウント1の権限管理はできたがアカウント2ではできていない」といったトラブルが発生するケースがあるでしょう。
MCCアカウントでは企業ごとに枝分かれしているアカウントをまとめられます。そして「企業AのMCCアカウント全体に登録・更新などの権限を付与する」といったことが可能です。これにより企業ごとに権限付与をするのが簡単になり、一部のアカウントで権限付与を忘れてしまうといったリスクを減らすことができるのがメリットです。
オーディエンスリスト共有が楽になる
Yahoo広告では配信者の属性等のデータを「オーディエンスリスト」という形で登録できます。しかし企業アカウントが枝分かれしていると1つ1つにリストを登録するのは面倒です。
MCCアカウント利用によってオーディエンスリストの共有も楽になるのがポイントです。たとえば
- MCCアカウントで直接オーディエンスリストを作成する
- MCCアカウント中のアカウントの1つで新規にオーディエンスリストを作成する
といった方法で、MCCアカウント配下のアカウントすべてで作成したリストをまとめて共有できます。
MCCアカウントをまたいで(MCCアカウント1と2、3で同じリストを共有する)といったことはできませんが、MCCアカウント配下に複数アカウントが配置されている場合は便利な機能です。
レポート機能の利用も効率化する
ディスプレイ広告のみになりますがアカウントをまたいでレポートする機能もMCCアカウントには搭載されています。
- 横断リーチレポート:対象ごとにクリックといったコンバージョンデータを比較できる
- コンバージョン経路レポート:ユーザーの行動経路を把握しながらコンバージョンデータを確認できる
といった内容が対象となります。
- 指定のMCCアカウントを選択する
- 右上の「レポート」メニューをクリック
- 内容を確認する
という手順で機能を利用することが可能です。
4.まとめ
今回はYahoo広告にも導入されたMCCアカウントとは何か、設定方法や利用メリットなどをご紹介してきました。
MCCアカウントによって企業ごとに枝分かれした配下のアカウントを統合して管理できるようになります。オーディエンスリスト共有や権限管理などがまとめてできるようになるので作業ミスが減りますし、結果的には作業効率化にもつながるでしょう。
ぜひMCCアカウントの作成手順などを理解して広告運用へ活かしてみてください。