Cookieがプライバシー面で規制される動きが強まり、広告業界は対策を迫られています。GoogleもCookieに依存しないさまざまな方法を提供していますが、「拡張コンバージョン」もその1つです。
拡張コンバージョンによってGoogle保有のデータを広告配信に活かせるようになります。今回はGoogle広告で使える拡張コンバージョンとは何か、メリットや設定方法を解説していきます。
1.Cookieを使わないので安心!Google広告の拡張コンバージョンとは
Google広告の拡張コンバージョンとは、Cookieの規制が強まる中導入されたGoogle広告の新機能です。提供から間もないですが、Googleアカウントを活用してコンバージョンデータを保管、継続できるのが特徴になります。
従来広告を配信する際に使われていたサードパーティーCookieは、個人情報と結び付けるとプライバシー侵害を起こす恐れがあるため規制の対象となりました。ヨーロッパでGDPRが制定されたように、各国で法律面でのCookie規制が始まっているのも注目すべきポイントです。しかし広告で大きな収益を得ているGoogleにとって、Cookie対策を行わないのはビジネス面で大きな打撃があります。
そこでGoogleはGoogle広告においても、さまざまな機能でCookieの影響を受けない広告配信を行えるように工夫しています。その1つが拡張コンバージョンです。Googleアカウントを介して詳細なユーザーデータを取得、ターゲティングすることでCookie依存から脱却するとともに精度の高いターゲティングを可能としているのがポイントです。
2.Googleアカウントデータを活用できる!Google広告の拡張コンバージョンのメリット
Google広告の拡張コンバージョンを使うと次のようなメリットがあります。
暗号化を活用した安全な方法で情報取得が可能
Google広告の拡張コンバージョンでは、次のような仕組みでユーザーのコンバージョンデータを保存しています。
- コンバージョン操作をユーザーが行う
- タグを経由してデータを暗号化(ハッシュ化)
- Googleのサーバーへデータを保存してGoogleアカウントデータと照合する
個人情報に関係するコンバージョン情報を保存する際は、セキュリティにも気を付ける必要があります。Google広告の拡張コンバージョンではデータを暗号化する際、「sha256」という強固な方式を使っているのがポイントです。Googleのサーバーへデータが送信される際は暗号化されているので、情報が盗み取られてしまう心配はありません。
ちなみにハッシュ関数は電子署名などさまざまなセキュリティ分野で使われているので、気になる方は自分で詳細や使い方などを調べてみてください。
Cookieよりも正確なコンバージョン測定が実現する
Cookieに保存できる情報は限られています。コンバージョン精度を確保する手段として従来使われてはきましたが、これ以上精度向上が望みにくくなったのもデメリットです。Google広告の拡張コンバージョンは単なるCookieの代替手段としてではなく、より精度の高いコンバージョン測定を実現する手段としても優秀です。
GmailやGoogleドライブなど、さまざまなGoogleのサービスは今やインフラのようなレベルで普及しています。どのサービスでもGoogleアカウントが必要なので、持っていない人のほうを見つけるのが難しいかもしれません。しかも自動ログインといった機能もあるので、知らないうちにログインしてGoogleアカウントを使っている方もいらっしゃるでしょう。
こういったアクティブになっているGoogleアカウントには、
- 性別・年齢
- 趣味
- 地域
といったさまざまな情報が紐づけられています。こういった情報はGoogle広告の拡張コンバージョンにおいても利用可能であり、Cookieより多様なコンバージョンデータを取得できるようになることで今までコンバージョン計測できなかった部分にも手が届きやすくなるでしょう。
手動と自動の2種類からデータの取得方法を選択可能
Google広告の拡張コンバージョンでは、
- 手動でコンバージョンデータとして取得したい項目を選ぶ
- 自動でコンバージョンデータとして取得できる項目を選択する
という2種類の方法でデータを活用可能です。
前者は利用の際HTMLの知識・スキルを身に付けている必要がありますが、idやclassなどでHTMLタグ内にデータを埋め込むことでGoogle広告に取得したいデータを認識させる手法になっています。idやclass属性の打ち間違いに気を付ける必要がありますし、フォーム変更などの際は再設定を行わないといけませんがピンポイント・確実に取得したいデータを選びたい際はおすすめです。
後者はタグ設定に慣れていない方にもおすすめできる手法です。Google広告のAIがコンバージョン項目を自動で認識、データを取得して送信してくれるので属性設定の手間が必要ありません。フォーム変更のときも再設定の手間を省くことができます。その分定型的なフォームではない変わった内容のフォームだとデータを認識してくれない可能性などがあるので注意しましょう。
気になる方は両方の方法を試して、より精度が高いと思われるほうを積極的に使ってみてください。
3.複雑なので注意が必要!Google広告の拡張コンバージョン設定方法
ここからは実際に、Google広告の拡張コンバージョン設定方法をご紹介していきます。設定前に、フォームにおいて1つ以上の顧客データが収集できるか確認するのを忘れないでください。
拡張コンバージョンにおいて計測できるのは
- メールアドレス
- 氏名・自宅住所
- 電話番号
などです。複数の対象データがあるほど計測精度も向上するでしょう。
手動でコンバージョンを計測する場合
手動でコンバージョンを計測する場合は、次の手順を取りましょう。
- GTMの設定画面を開く
- 変数として個人情報に関するHTMLタグの情報を入力
- ユーザー提供データに関する変数を定義する
- 変数を保存してコンバージョンタグ設定フォームへ移動
- 「自社のウェブサイトでユーザーから提供されたデータを含める」をONにする
- Select user-provided-data variableでユーザー提供データに関する変数を入力
- 見出しの設定を行ってから保存する
半角を全角にしたりと、少しミスがあるだけで計測ができなくなってしまうので注意して作業してみてください。
自動でコンバージョンを計測する場合
自動でコンバージョンを計測する場合は次の手順を取ってみてください。
- Google広告へログイン
- 管理画面右上のツールアイコンから「測定」→「コンバージョン」とたどる
- コンバージョンアクションを開く
- 「拡張コンバージョン」→「拡張コンバージョンをオンにします」をクリック
- 「同意する」をクリックしてから「URL を確認する」をクリック
- 設定が正しいことを確認してから「保存」をクリック
難しい作業が手動のケースと比較すると少ないので、失敗するリスクは低いと言えます。
4.まとめ
今回はGoogle広告の拡張コンバージョンを解説してきました。
Google広告の拡張コンバージョンを使うと、Cookie以上の精度でコンバージョン計測・ターゲティングが可能です。ただし設定方法が若干難しいので、Google広告公式のヘルプも参考にしながら作業を進めてみてください。
将来的にCookieから脱却できるようにするためにも、いち早く拡張コンバージョンを活用して計測を効率化させてみてください。