Cookie利用の同意バナーは広告にも影響!対策の取り方を紹介

昨今の個人情報取得規制の強まりに対して、Cookie利用の同意バナーを表示して対策する企業が増えつつあります。日本企業の導入割合はまだそこまで多くありませんが、将来的に世界でさらにCookieの利用制限が掛かる可能性があることを考えると今のうちに対策しておいたほうが安心です。

ただしCookie利用の同意バナーの使い方を間違えると、リターゲティング広告の精度が落ちるといった被害がでるリスクがあるので注意しましょう。

今回はCookieの同意バナーが広告へどう影響していくのか、その具体事例を今後のCookie制限に関する対策といっしょにご紹介していきます。

1.Cookie利用の同意バナーとは?

Cookie利用の同意バナーとは、「個人情報に関係するCookie情報を、ユーザーから取得してよいか本人に同意を得るためのバナー」です。Webサイトへ設置することで、ユーザーの自社サイト訪問時に自動でポップアップを行い利用の可否をユーザーへ聞くことができます。

  • iOS
  • Android
  • Windows

といった機器OSの種類にかかわらず、あらゆるWebサイトでCookieの利用に関しては注意すべきです。

  • ヨーロッパでGDPRが制定され、EU圏内ユーザーからのCookie取得に制限が掛かる
  • アメリカでCCPAが制定され、カリフォルニアでのCookie取扱いに注意しないといけないようになっている

といった変化によって、Cookieの利用を間違えると法律違反になって罰せられるリスクがあるからです。

また日本政府も個人情報保護法の改正により、Cookieを個人情報と結び付けて細かい行動をターゲティングする際は同意を求めるように企業へ促しています。今まで「ヨーロッパやカリフォルニアユーザーは自社サイトに関係ないので、Cookieの同意バナーを設置する必要性を感じない」と考えていた方も、設置のための早急な対応が必要です。

2.分析にもかかわる!Cookie利用の同意バナーは広告にどう影響するのか?

Cookie利用の同意バナーによってユーザーにCookie取得が拒否されてしまうと、次のような影響が出てきます。

リターゲティング広告の精度が落ちる

Cookieは以下のような仕組みで利用されています。

  1. Webサイト訪問時、WebサーバーがCookieを作成してブラウザーへ送信
  2. ブラウザーはCookie情報を保存
  3. 次回訪問時Cookie情報を基に、Webサイトが自動ログインを行ったり広告を表示したりする

Cookieには

  • 自動ログインやカート情報保存などに使われるファーストパーティーCookie
  • 広告のリターゲティングなどへ使われるサードパーティーCookie

の2種類があり、広告へ主に使われているのはサードパーティーCookieです。ただしファーストパーティーCookieも自社サイトの商品レコメンドといった広告目的で利用可能なので、もし広告に活用している場合は2種類ともに適切な管理が必要になってきます。

もしCookie利用の同意バナーで取得が拒否された場合に各リターゲティング用のCookieが利用できなくなってしまうと、

  • どの商品を閲覧しているのか
  • どのジャンルに興味があるのか

といった情報が把握できません。

そのためたとえば広告プラットフォームのリターゲティング機能を使っていても、精度が落ちてしまいユーザーと関連性の低い広告が表示されてしまう、といった影響が出る場合があります。

関連度の高い広告を表示できれば、少ない費用で高いコンバージョン率を確保できる可能性が高まります。しかしCookie利用の同意バナーによって取得拒否率が増えると、それだけ予算が高くなりコンバージョン率を確保しにくくなるリスクがあるので注意しましょう。

今までCookieに依存したリターゲティング施策を行っていた方は、精度が落ちる前に代替手段を講じる必要があります。

分析精度も落ちてしまう可能性がある

広告配信には事前や事後の分析が重要です。分析によってユーザー属性や行動などを把握することで広告運営をさらに改善できます。

ただし分析に関してもCookieが使われている点には注意しないといけません。分析ツールによっては

  • サイト閲覧からコンバージョンまでにどのくらい日数が掛ったか
  • 自社保有の複数ドメインサイトでユーザーがどうサイト同士の回遊行動をしたのか

といった紐付けをCookieベースで行っています。

もしCookieの利用同意バナーによってCookieが拒否されて利用できなくなってしまった場合は、

  • サイト閲覧からコンバージョンまでの行動を結び付けて確認不能になる
  • ドメインを変更しながらの回遊(クロスドメインでの回遊)を結び付けて把握できなくなる

といったデメリットが出てきてしまいます。

分析は予算を適切に調整して無駄のない施策を投入する際に必要です。もし自社の分析ツールがいまだにCookie依存の仕様になっている場合は、非依存型のツールへ切り替える判断も必要になってくるでしょう。

3.リスティング広告やFloC活用が重要!?今後取るべきCookie関連の対策とは

データ分析プラットフォームを提供している「株式会社サイカ」では、2020年11月を対象期間としてCookieといったデータを使った分析の利用実態調査を行いました。結果的には

  • 日常的にCookie等を使って分析している層が2019年比で10.5%減少
  • Cookie等を使っている層でも分析に不足を感じている割合が2018年比で2倍以上になる

となっています。

どちらの結果も、個人情報保護に関する規制が強まってそもそもCookieが利用しにくくなっていること、そしてそれに伴い精度確保も難しくなっていることが考えられます。また補足ですが、最近需要が増えているオフライン広告連携といったニーズにCookieが対応しきれていない点も影響しているようです。

上記のようにCookie利用のリスクが増えているので、以下のような対策が必要になってきます。

リスティング広告を活用する

リスティング広告は、ユーザの検索ワードベースで広告を表示する仕組みです。Cookieに依存しない仕組みなので注目が現在集まっています。

またリスティング広告では検索クエリがはっきりしている、ある程度コンバージョンが高い層へ向けて配信が可能です。分析を行いながら配信することで、キーワードベースでのコンバージョン獲得ができる点が魅力になっています。

Cookieに依存せずリスティング広告といった手法を活用することで、新しいターゲティングの仕組みを整えてみましょう

FloCへ対応した広告プラットフォームを導入する

「FloC」とは、Googleが提唱している個人情報保護に関する概念「プライバシーサンドボックス」の要となる技術です。Cookieをブラウザーから個別に受け取らずユーザー情報を集約して分析することで、個人情報をブラウザーから取得して分析する仕組みから脱却しようという技術になっています。

FloCの本格的な普及はまだですが、将来的にはFloC対応の広告プラットフォームの需要が高まってくると予想されます。分析プラットフォームを導入する際は、今後FloC分析に対応しているかでも選定を行ったほうがよさそうです。

Cookie非依存型のツールを導入する

現在ではCookieに依存しない、

  • Cookieに代わる識別子を利用
  • IPアドレスで企業情報を取得

といった仕組みの分析ツールが登場しています。

もしCookie依存から脱却したい場合は、上記のような特徴のあるツールを導入してみるとリターゲティング精度が落ちない可能性があります。

4.まとめ

今回はCookieの利用同意バナーが広告へ与える影響、そしてCookie関連の対策もご紹介してきました。

Cookieベースでのユーザートラッキングは、現在リスクが増しています。そのためCookie利用の同意バナーを設置しながら新しいターゲティングの仕組みを整えることが重要です。

同意バナーを設置するためのツールは、CMS用のプラグインなどをはじめすでに複数の企業から提供されています。
ブログやHPなどの自社メディアを持つ方にとっては、Cookieの取扱いについてなるべく早めに対応することが、会社の信用低下を防ぐことにもつながりそうです。

また、可能であれば、Cookieに依存しないツールを試しトラッキングの新しい仕組みを構築しておきましょう。
ただし独自識別子でのトラッキングといった手法は抜け道感があるので、将来的に規制を受ける可能性が高い点には注意してください。