アプリといったソフトウェアを開発するには、開発環境が必要です。その開発環境を整備するために利用するのが「SDK」と呼ばれるツールとなります。
SDKにはAPIやサンプルコードなどが体系的に備わっており、必要に応じて取り出して利用することで効率よく開発を進められます。今回はSDK利用の初心者向けに、SDKの概要やメリット、そしておすすめのツールをご紹介していきます。
1.ソフトウェアを単体で開発可能!SDKをわかりやすく解説
SDKとは「Software Development Kit」の略称です。ソフトウェアを開発する際に必要な一式の機能がそろったツールとなっています。
- サンプルプログラム
- API
- サンプルコード
- 関連資料
などがセットになっているので、1つ1つを集めて自分で開発環境を組むよりも効率的に開発作業を進められるのが特徴です。
ソフトウェアの開発は一長一短で済みませんが、人間は時代が進むにつれて簡単に開発できる環境を整えてきました。開発においては
- 集めたツール同士の相性を考える
- 同じコードを何度も打たないように効率化する
といった作業が必要です。SDKを利用することで、上記の作業をスムーズに遂行して開発作業の短時間化、ミスの防止などへつなげられるでしょう。
ちなみにAPIとSDKを混同される方がいらっしゃるようですが、APIは簡単に言うと
- アカウントでのログイン
- マップの表示
といった他ソフトウェアの1機能を外部から呼び出して、紐づけて使うためのツールです。開発を効率化するための機能としてSDKに含まれており、SDKの中にAPIが存在するイメージを持っておいてください。
2.開発効率向上に役立つ!SDKのメリットとは
SDKを利用すると次のようなメリットがあります。
ソフトウェアの読み込み低下を防げる
初心者がソフトウェアを開発する際に陥りがちなトラブルとして、「無理やり開発を行った結果読み込み速度が低下する」というのがあります。具体的に言うと必要だと思う機能を自作、あるいは外部からつぎはぎで持ってくることでコードが乱雑になり、非効率な読み込みが発生してしまうことが原因です。放っておくと読み込み遅延にとどまらず検証の難航、機能エラーの発生などが引き起こされる可能性もあり危険です。
ソフトウェアの読み込みはユーザー体験度(UX)と強いかかわりがあり、なるべく遅くならないように工夫する必要があります。Webサイトの場合はGoogleが公表しているように、読み込み速度がSEOに影響を与える点もポイントです。
SDKを使うとあらかじめサンプルコードや必要な資料などが用意されているので、無駄なくコードを用意してソフトウェアを組み立てることができます。遅延につながりそうな機能はAPIを使うなどして外部から呼び出せば高速化につながるでしょう。無駄なコードがなくなりソースコードが乱雑にならないのもメリットです。
機能のカスタマイズも簡単にできる
SDKの種類はさまざまですが、どのSDKもソフトウェアのカスタマイズが簡単にできる点では同じです。
- 決済用のSDKを導入して決済機能を組み込む
- SNSアカウントのログイン機能をAPIを使って追加する
- 在庫管理のための紐づけシステムを用意する
- エラーが起こった際にその原因まで含めて検知を行う
- 必要なデータを収集して分析に活用する
といった、目的に応じたさまざまな機能をSDK1つで導入可能です。
1つ1つの機能を手探りで検索して調査、導入していくのは手間ですし機能同士でエラーが発生する危険もあります。面倒な検証やデバッグ作業をなるべく抑えながら余計な手間を掛けずに開発するには、SDKを使うとよいでしょう。
無料で使うことも可能
複数の機能が搭載されているSDKですが、無料で使うことも可能です。コスト面で敷居があると初心者は手が出しにくいものですが、無料のSDK導入によってその問題を解消できます。
ただしPCとSDKだけでなく、必要によっては外部サーバーなども検証の際必要です。また本格的なソフトウェア開発の際は有料のSDKが適している場合もあるので、価格だけを重視してSDKを選ばないように注意してみてください。
3.おすすめSDK3選!自社のソフトウェア開発へ活用してみよう
おすすめSDKを確認する前に、簡単なSDKの選び方を解説していきます。
- 目的に応じて必要なSDKを選ぶ
- 必要な機能が一通りそろっている確認する
- 無料か有料かを確認する
会社でSDKを使う目的は
- 社内ソフトウェアを開発したい
- 動画のライブ配信などに関する機能を利用したい
といったように、さまざまです。現在では特定の目的に特化したSDKも提供されているので、場当たりではなく事前にSDKを使うことでどういった未来を得たいのかを考えておくと選定に失敗せずに済むでしょう。
またSDKによって搭載されている、あるいはされていない機能は異なります。たとえば組込みシステムの場合は物理ケーブルがセットになっていることもあり、なるべくSDK単体で開発を完結できる素材がセットになっていたほうが好ましいです。
無料か有料かも重要です。体験版があれば利用してみたほうが、お金が掛かるか掛からないかにかかわらず導入に関する不安が消えるでしょう。ちなみにローカルにインストールするタイプではPC容量や速度などにも気を付ける必要があるので注意しておきましょう。
ここからはおすすめSDKをご紹介していきます。
Kdan PDF SDK
PDF機能に特化したSDKになっています。モバイルアプリに対してドキュメント管理機能を搭載したい時に役立つSDKです。
- PDFの閲覧
- 検索や編集
- 注釈の追加
- 署名の追加
といった機能がこれ1つで搭載可能です。
組み込みに関してはコード数行から実行できる簡単さが魅力であり、Objective-CやJavaなどに対応しています。iOSやAndroid、WindowsやWeb上で動作する柔軟性も強みです。
Android SDK
Android スマートフォン向けのアプリを制作したい際は、「Android SDK」がおすすめです。Googleが無料で提供しているので信頼感が高いのが特徴になっています。
Android developersを通じてダウンロードが可能であり、PCの容量は必要ですが効率よくAndroid向けアプリを開発できます。
Agora
動画関連の機能に特化しているSDKです。
複数のAPIやサンプルコードが含まれているので、SDK利用初心者でも楽に組み込みができるようになっています。
- 配信中のメッセージ確認
- チャットの利用
- オンライン送金
といった機能をソフトウェアへ搭載可能であり、Web会議サービス発のSDKということもあり通信安定性や低遅延性にも定評があるのも特徴です。
また従量課金制を取っており、効率よくコストを抑えながら動画関連の機能を組み込めるのもメリットです。生放送で魅力ある情報をアプリから伝えたい、といった目的で役立つSDKになっています。
4.まとめ
今回はSDKとは何か、そして利用するメリットやおすすめのSDKをご紹介してきました。
SDKはソフトウェア開発を効率化するためのツールであり、スムーズに短時間で開発を終わらせたい方に適しています。もちろん完全な初心者がスムーズに利用するのは難しいかもしれませんが、体系的にソフトウェア開発を済ませて知識・スキルを身に付けるのには適しているでしょう。
ぜひ目的に合ったSDKを選定して、組み込みに活用してソフトウェア作りに応用してみてください。