インターネットユーザーの購買行動が多様化・複雑化している現在、単にどの広告が直接コンバージョンにつながったのかを確認するだけでは施策を見誤るリスクが増えてきました。代わりに各広告とユーザーのタッチポイントを計測、各広告がどのくらいコンバージョンへ貢献したのかを確認できる「アトリビューション」の考えが注目を集めています。
TikTokにおいても広告の効果を正確に計測できるよう、競合と同じようにアトリビューションを計測できる機能を搭載することを発表しました。今回は「TikTokアトリビューションマネージャー(TikTok Attribution Manager)」をご紹介していきます。
1.2022年6月27日、TikTok アトリビューションマネージャーが発表される
ここではアトリビューションや、TikTokアトリビューションマネージャーの概要などをご紹介していきます。
そもそもアトリビューションとは何か
マーケティング業界でアトリビューションは、「コンバージョンへの各メディアの貢献度」を表す言葉です。そして広告分野では、各広告がコンバージョンへどれくらい貢献したのかを数値で表現し、貢献度合いを比較できるのがポイントになっています。
たとえば従来の分析では、直接商品の購入等につながった広告のみを有効な広告として計測してきました。しかし現在ではさまざまなタッチポイントで、さまざまな広告がユーザーへ表示されます。そしてその表示された順番や数などによっても、ユーザーの購買行動は左右されます。直接コンバージョンを達成した広告だけで効果を発揮しているわけではありません。
アトリビューションでは
- 広告Aの貢献度が2
- 広告Bの貢献度が3
- 広告Cの貢献度が5
といったように、広告ごとにどれだけパフォーマンスが発揮できたのかを数値で表示します。これによって初期に表示されるような広告でも正確に効果が計測できるようになり、細かい広告の出し分けが可能となりました。
ちなみにアトリビューションを利用する際は、さまざまなモデルが存在しており目的に応じて選択する必要があります。
- ラストクリックモデル:最後の広告経路を重点的に計測
- ファーストクリックモデル:最初の広告経路を重点的に計測
- 減衰モデル:コンバージョンに近い広告ほど貢献度を増やす
- 線形モデル:貢献度を均等に分ける
- 接点ベースモデル:起点・終点を重点的に計測
TikTok アトリビューションマネージャーが新規追加に!
TikTok for Businessでは2022年6月27日に、TikTokでのマーケティングをさらに便利にするためTikTokアトリビューション マネージャーをリリースしました。「TikTok広告マネージャー(TikTok Ads Manager)」上で「アトリビューションウィンドウ」を使いながらアトリビューション測定が可能となっています。
アトリビューションウィンドウでは広告をクリック・閲覧したユーザーがアクションを起こして、コンバージョンが報告されるまでの日数を確認可能です。ブランドやビジネスにおいて売上等のコンバージョン目標は違いますが、アトリビューションウィンドウの活用によって目標の違いやユーザーの検討時間にかかわらず最適なキャンペーン調整ができるようになります。
アトリビューションウィンドウは企業ごとの目標へ対応できるように、カスタマイズ可能となっていることなどが特徴となっています。
2.TikTok アトリビューションマネージャーの機能とは?
TikTok アトリビューションマネージャーでは、細かい計測期間の設定が可能です。クリックスルーアトリビューション(CTA)ウィンドウでは1日~28日、ビュースルーアトリビューション(VTA)ウィンドウではオフから最大7日まで設定ができるようになっています。
具体的な設定項目は次の通りです。
- クリックスルーアトリビューション: 1日、7日、14日、28日
- ビュースルーアトリビューション:オフ、1日、7日
ちなみにTikTok広告マネージャーの管理画面におけるAssetsメニューの下から、TikTok アトリビューションマネージャーの設定が可能です。
TikTok Pixel・Web Event APIの広告主は7日間のクリックと1日間のビューが基本設定となっています。ここから調整が必要な場合は、上記の項目から最適なものを選んで期間を再調整してみてください。
ここからは設定方法の事例をご紹介していきます。
小売ブランド
たとえば季節限定の販売促進キャンペーンを実施する場合、コンバージョンまでの顧客検期間を確保するため、7日間のクリックと1日間のビューのアトリビューションウィンドウが最適になります。つまりTikTok アトリビューションマネージャーの調整を特にしなくてもそのまま広告配信すればよいことになるでしょう。
調査に時間の掛かる製品・サービス
大型家電といった調査・購入に時間の掛かる製品・サービスについては、アトリビューションウィンドウを調整することが重要です。コンバージョン経路を通るのに時間がかかる場合は、キャンペーン効果や顧客行動をより詳細に把握するため
- クリックスルーコンバージョンは7日間
- ビュースルーコンバージョンは1日以上延長
するとよいでしょう。
3.TikTok アトリビューションマネージャーと連携する、TikTok広告マネージャーとは?
TikTok アトリビューションマネージャーは、TikTok広告マネージャーの機能の一部です。
TikTok広告マネージャーとはTikTok for Businessにおけるサービスの1つです。広告という従来の枠組みを超えたコミュニケーションを実現できるようにするために提供されているツールとなります。
次のような機能がTikTok広告マネージャーには搭載されています。
目的の選択
- Webサイトトラフィックの増加
- アプリインストール数の増加
- オンラインセールス拡大
- セールスリード獲得
といった目的から、好きな項目を選んで広告を作成することができます。
オーディエンスの選択
- オーディエンス
- デモグラフィック
- デバイス
といった項目から選択を行い、オーディエンスの範囲を調整することが可能です。広告配信するユーザーをターゲティングする際に必要となります。
予算調整
日次予算や通算予算を入力して、予算を調整できる機能です。支払い額の調整および中止はいつでも行えるので、予算超過が激しいときなどでもすぐ対応できます。
予算については広告開始当初は多めに設定して、後で調整するのが基本的なポイントです。
広告作成
動画や画像といったアセットを組み合わせて、クリエイティブを作成できる機能です。編集機能だけでなく AIツールも利用できるので、効率よくクリエイティブを作成して用意できるのがポイントになります。
複数広告を公開する際は、上手く自動機能を使いながら作業を効率化していきましょう。
自動公開
広告公開時には、TikTok広告マネージャーの独自システムによって適切な視聴者へ適切なタイミングで広告が表示されます。運用者は広告を手動で出し分ける手間がないので便利です。
効果測定
好きなカスタマイズを行った上で、広告効果を数値・グラフで測定可能です。TikTok アトリビューションマネージャーでの調整も測定結果に影響するので、細かい調整を忘れないようにしていきましょう。
4.まとめ
今回はTikTokアトリビューションマネージャーをご紹介してきました。
TikTokアトリビューションマネージャーで最適な期間を設定することで、広告効果を計測し間違えずに適切な評価ができるようになります。自社の目的や業種などによっても最適な期間は異なるので、細かい調整を行ってみてください。
またTikTok広告マネージャーに対する理解も強めておき、TikTok広告を最大限活用できるようにしておきましょう。