アプリマーケティングを行う際は、まず競合となるアプリを調査して類似点や差別化できる点を探すことが定石とされています。しかしなぜ競合となるアプリを詳しく調べる必要があるのか、さらに細かいところまで理解をしている人は多くないでしょう。
またアプリを探す方法にはいくつか種類があり、自社に合った方法を選ぶことも重要です。今回は競合となるアプリを探す必要性や確認すべきポイント、そして具体的な調査方法の種類などをご紹介していきます。
※競合調査といっしょに確認しておきたい、ASO対策の注意点はこちらで確認できます。
1.競合となる可能性があるアプリを、なぜ探す必要があるのか
そもそも競合調査はアプリだけで必要な作業ではありません。企業としてプロダクトを提供している限り、現在のマーケティングでは避けられない作業です。
競合となるアプリを探して自社と比較する必要があるのは、以下のような理由があるからです。
- 競合の性質を調べることで、アプリデザイン・機能などのかぶりを防いでシェアを獲得できる
- 競合のよいところを取り入れることで、自社アプリの質がさらに高くなる
- 自社で想定していなかった競合アプリを見つけて施策を打てる
まずアプリデザインや機能が似通っているアプリが増えている今、競合の特徴を調べて上手く差別化するのがより重要となっています。独自性の点を磨きつつ、このアプリだからわざわざ選んだ、という印象をユーザーに与えられるかが重要です。
また競合のよいデザイン・機能は取り入れることで質が高まります。ただし独自性の点とトレードオフになり過ぎないよう、共通しても問題ない部分のみを参考にしてみてください。
競合調査によって、自社で想定していなかったアプリがライバルとして見つかることもあります。今はどのアプリが競合となるか想定しにくくなっているので、実際のデータを確認して抜け漏れがないようライバルを想定するのがポイントとなってきます。
2.競合となりうるアプリについて、どの部分を見て判断を行うべきなのか?
ここからはアプリを開発したりリリースしたりする際に参考となる、競合アプリの重要部分をご紹介していきます。
各アプリストアの公式レビュー
ユーザーの発信情報としてレビューは、第三者目線からアプリを読み解く情報であり重要です。AppStoreでもGoogle Playでも、すぐにレビュー内容がプロダクトページから確認できるようになっています。
- 平均の星評価はどうなっているか
- 具体的なコメントはどうなっているのか
- 特に参考になりそうなコメントには何が書いてあるか
といったポイントをチェックしておきましょう。
平均の星評価が高い場合は信頼性が高い証拠とも言えますが、評価数が少なければ高めに評価が出ることもあるのでここだけではアプリの質を判断できません。実際のレビュー内容を確認してどんな評判が寄せられているのか、また長文レビューなど特に参考になりそうなコメントではどんな評価が下されているのかなどを確認しておきましょう。自社アプリで何に気を付けて開発を進めればよいのかが分かりやすくなります。
ダウンロード数、課金額
アプリストアの場合は、ダウンロード数を各アプリのプロダクトページから確認可能です。ただしAppStoreではプロダクトページにダウンロード数の記載がありません。調査ツールを用いて大体のダウンロード数を調査する必要があります。
また課金額については詳しい数値は分かりませんが、ダウンロードとともにランキングが掲載されるのでそこでどのくらい儲かっているのか概要を把握することは可能です。最近ではリワード広告を利用してダウンロード数を増やしたりするアプリを是正する動きも広まっており、今後はよりアプリの質を重視した公正な観点からランキングが掲載されるようになる可能性は高そうです。
さらに詳しいダウンロード数や課金額の数値を調査したい際は、企業が利害関係者に対して行う決算報告の数値を確認するとよいでしょう。決算報告の正確性は高く、細かいアプリの業績をグラフや数値で詳しく確認することができます。また利害関係者に分かりやすいように解説されているので、アプリ分析初心者でもじっくり読むことで内容を理解することが可能です。
アクティブ率
実際にアプリがたくさんインストールされても、それはリワード広告や初回特典でユーザーを釣ったことで得た数値かもしれません。そこで競合の正確なアプリパフォーマンスを確認する際は、アクティブ率を計測して分析の観点に追加することが重要です。
アクティブ率とはアプリをインストールしてから実際に起動している割合を表す数値であり、日間や週間、月間で起動しているユーザーを洗い出すことで判断できます。アクティブ率が高いほど、そのアプリはインストール後も継続的に使われていることが分かります。
計測する際に日間、週間、月間のどの数値を用いるかはアプリのジャンルによって変わってきます。たとえば毎日のように起動するのが普通のSNSアプリでは日間で情報を調査するケースが多いですし、購入回数が限られているECアプリでは月間でアクティブ率を調べるケースもあります。他の指標といっしょに活用することで、アプリ分析の精度を向上させてみてください。
3.競合となりうるアプリを探す方法とは?1つ1つ解説
すでに説明している部分もありますが、競合となりうるアプリを探す方法としては次のような方法があります。
各アプリストアで調べる
アプリをリリースする予定のストアで、競合アプリについて直接調査するのは確実な方法です。ただしAppStoreとGoogle Playでは調査できる情報に違いがあるので、両アプリストアでリリースをする場合は見られる情報とそうでない情報を分けながら効率よく情報を調べる工夫が求められます。
各プロダクトページからだけだと調査できるデータに限界があるので、アプリストアが公式で提供しているツールも活用してみてください。
たとえばAppStoreでは「Appアナリティクス」が正式に提供されています。無料でダウンロード数やその他パフォーマンス情報を確認できます。また概要データであれば、「iTunes Connect」でも確認が可能です。GooglePlayでは「Mobile Analytics」でデータ計測ができます。
競合アプリの調査ツールを導入する
アプリストアから得られるデータだけでは不十分な場合、競合アプリを調査できるツールを導入するのも重要です。こういった調査ツールでは自社アプリのパフォーマンスも登録することで確認できますし、競合アプリとパフォーマンス比較をすることも可能です。AppStoreとGoogle Playで調査ツールを分けたくない方にもおすすめできます。
さらにアクティブ率の表示など、アプリストアだけでは確認できないデータまで分析に活用できるので便利です。ただし表示されるデータはアプリストア公式から出されたものではないため、調査ツールの表示データの元を確認したり実績を閲覧したりして適切なツールを導入することが重要となります。
アプリ提供元企業の公式データを参照する
細かい売上やダウンロード数、ユーザー数を調査したい場合は、アプリ提供元の公式データを参照するのもよいでしょう。ただしデータを参照できるのは規模が大きい、調査報告書などを提出する必要性が高く毎年書類を公表している企業だけです。ですから競合にユーザーボリュームが大きく、有名なアプリがある際には利用しやすい手法です。
企業の公式データには今後の提供方針といった参考データも入っているため、今後差別化しながらユーザーを獲得するためのヒントを得ることもできます。
4.まとめ
今回は競合となるアプリを探す必要性や確認すべきポイント、そして具体的な調査方法の種類などをご紹介してきました。
アプリを開発・リリースする際は、事前の競合調査が重要です。競合調査で差別化したいところや真似したいところ、想定して起きたいライバルアプリなどを見つけることで、アプリマーケティングの成功率が上昇します。
調査を行う際はアプリストアや競合調査ツール、アプリ提供元の公式データなどを参考にしてみてください。