UGCを活用したマーケティングをしよう
企業のほうから一方的に情報を発信して売上を稼ぐ時代は終わりました。現在ではユーザーファーストで悩みを聞いて、解決できるように情報を提供して商品やサービスを提供する姿勢が必要不可欠です。
ユーザーファーストのマーケティング施策が主流になる中、注目を集めているのが「UGC(User Generated Contents)」です。「アーンドメディア」としてUGCを自社の評判アップに活用できれば、効率よくマーケティングができるようになるでしょう。
今回はUGCの活用法について知りたい方向けに、UGCとは何か、そして活用すべき理由や生み出すコツ、事例などをご紹介していきます。
1.UGCとは?
UGCとは「ユーザーが自主的に発信したコンテンツ」です。インターネットでさまざまな場所へアクセスできるようになった現代では、ユーザーがUGCを投稿してコミュニケーションを取るのが一般的になっています。
UGCの範囲は広く
・ネットショッピングで口コミ投稿を行う
・イラストを描いてコミュニティサイトへ投稿する
・ブログを執筆して公開する
・SNSにおすすめ商品やサービスの感想を投稿する
といった事例があります。
特に「SNS」では簡単に文字や画像で投稿ができるので、毎日大量のUGCが発生しています。UGCを検索して自社の評判を確かめると、施策の改善点などのヒントを得られるケースもあるので活用したいところです。
UGCといったユーザーが発信したコンテンツは「アーンドメディア」と呼ばれ、
・自社サイトなどで自社の情報を自由に発信するオウンドメディア
・有料広告による集客を行うペイドメディア
といっしょに「トリプルメディア」としてよくマーケティングの重要要素に取り上げられます。
2.UGCを活用すべき理由
UGCを活用すべき理由は次の通りです。
ユーザーから見ると広告よりも信頼性が高い
有料の広告は昔からマーケティングに使われており、現在でも有効に活用できれば大きな効果が出ます。ただし以前よりはパフォーマンスを発揮しにくくなったのが現実です。
大きな理由の1つが、見ない機会がないほど広告があふれてしまっている点です。あらゆるタッチポイントで広告を見せられるユーザーは、「しつこい」といったマイナスな感情が起こりやすい状況にあります。
「ユーザーデータでターゲティングして広告を見せれば問題ない」と思うかもしれませんが、中には「企業からつけ狙われているようで怖い」と感じる方もいらっしゃいます。広告を成功させるにはユーザーの背景を理解しながら出稿を行う必要があります。
しかしUGCの場合、発信者は「自分と同じユーザー」です。ユーザーが自分の目線で商品やサービスの感想や使い方などを紹介しています。たとえば「Instagram」の場合、多くの女性がメイクの活用法やコツなどを画像つきで紹介しており人気があります。
つまり広告よりも信頼性が高いコンテンツだと受け取られているのがポイントです。友達やインフルエンサーといった信用できる人が投稿したUGCは有力な参考情報として多くの方が確認しています。
購買意欲喚起にも大きな効果がある
UGCは購買意欲喚起にもつながるコンテンツです。
「Olapic」という米国の企業の調査によると、
・生活者の63%が購入の前に商品のUGCをSNS上で探している
・20~30代の53%が購買活動にUGCが影響を与えたと名言
という結果が出ています。購入の前に口コミとしてUGCを探している方は多く、特に20~30代の比較的若い層は購買活動とUGCが直結している状況です。
コロナウイルスの影響でSNSをタッチポイントとして情報を検索している方は増加しています。企業としてはUGCを上手く使いながら購買に結び付けられるように導線を作っていけるとよいでしょう。
企業側が考え付かなかったアイデアなどをデータとして活用できる
UGCには企業側が思いもつかなかったようなアイデアが眠っているときがあります。
たとえば「ハーゲンダッツ」は、「ハーゲンハート」というハートの形に見えるクレーター(アイスのくぼみ)を投稿するキャンペーンをTwitterやInstagramで行っています。ハーゲンハートが登場したのはハーゲンダッツを食べた方がSNS上で指定の写真を投稿して感想を公開したのがきっかけです。
当初ハーゲンダッツ側はUGCを活用しようと思っていませんでしたが、ハーゲンハートの反響の高さから関連のキャンペーンを開始して成功を収めています。
また画鋲をゆでるときにたまごのとがった部分に刺してゆでると、殻がすんなりむけるというテクニックも、UGCにより広く知られるようになった裏技です。企業としてはこういったユーザーだからこそ生み出せたアイデアを基に、キャンペーンに活用して販促ができるメリットがあります。
またアイデアだけでなく「自社の商品・サービスがどう思われているか」をUGCから知ることでマーケティングに活かせるのもポイントです。
3.UGCを量産するためにやるべきこと
ここからはUGCを生み出すためにやったほうがよい作業をご紹介していきます。
ファンと積極的にコミュニケーションを取る
UGCを多数発生させて有効活用するには、口コミをしてくれるきっかけを企業側が積極的に作っていく必要があります。
・ファンのSNS投稿に対して面白い返答を返す
・オリジナルのハッシュタグを作って公開する
・実店舗内にSNS映えするようなブースを設けて撮影に使えるようにする
・メールでUGC発信を促す
といった各手法で地道に取組を続けることでUGCの数は自然と増えていくでしょう。きっかけがあるのとないのでは、UGCの集まり方が全然違います。
SNS上のキャンペーンで拡散を狙う
ハッシュタグに関するキャンペーンは、特にTwitterとInstagram上で複数行われています。Twitterでは多数の大量当選キャンペーンが開催されていますし、Instagramでは写真投稿を促して豪華賞品を当てるような企画が用意されています。
誰でも参加できるようにすると多額のコストが掛かってしまいますが、「指定のハッシュタグを付けて感想を投稿、商品を楽しんでいる写真をいっしょに掲載してもらう」といったように工夫することで価値の高いUGCを生み出しやすくなります。「写真投稿で当選率3倍」といった施策も中には見られるので、いろいろなキャンペーンを開催してパフォーマンスを計測してみるとよいでしょう。
インフルエンサーと組んでみる
インフルエンサーは言わばUGCで稼いでいる人です。価値の高いUGCを常に投稿するインフルエンサーと組めれば、自社のブランド力向上やコンバージョン数アップなどにもつながる投稿が打ちやすくなります。
自社で1からアカウントを成長させるよりも短期間でUGCが発生する可能性が高いメリットも大きいです。
ただしインフルエンサー選定の際に
・自社のジャンルとフォロワーがあっているか
・フォロワー数は適切か
・インフルエンサーの投稿に関して常にいいね!などのエンゲージが発生しているか
といった点を確認しないと効果が出ない点に注意しましょう。
フォロワー数が多いほど依頼金額が増える傾向にありますが、「フォロワー数が少なくても特定のユーザーに熱烈なファンがいるインフルエンサー」に依頼すれば低コストでアピールができます。
依頼に関してノウハウがない場合は、選定のプラットフォームやコンサルティング業者などを利用してみましょう。
4.獲得したUGCを活用したキャンペーン事例
UGCを生み出したら次は獲得したUGCを活用できるようなキャンペーンを行いましょう。どのように活用すれば良いのか、キャンペーン事例をご紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。
キリン株式会社
「キリン株式会社」ではInstagramを活用してマーケティングを行っていますが、開始当初はクリエイティブの量を確保するのに手間取っていました。そこで投稿の量も質も確保できる魅力のあるUGCに着目して、プラットフォームを活用しながら自社の投稿に利用し始めています。
UGCを使った投稿は通常の投稿より平均135%のエンゲージメントを誇り、高いパフォーマンスを発揮しています。現在キリン株式会社はストーリーズ投稿にもUGCの活用範囲を広げており、許諾申請を通じて顧客とのコミュニケーションが深まっているのもポイントです。
サンスター株式会社
「サンスター株式会社」は通販分野で「緑でサラナ」という青汁を売り出しています。第三者の評価の重要性をサンスターは感じており、同時にクリエイティブとしてUGCに魅力的なものが多い点にも注目していました。
そこでモニターの参加者を集めるページや定期購入への引き上げページなどにUGCを組み込んでアピールを行っています。結果的にCVRが最大1.3倍にまで改善、ひと月換算で1,000万円強の売り上げ貢献につながる大きな成功を収めました。
5.まとめ
今回はUGCとは何か、そして活用すべき理由や生み出すコツ、事例などをご紹介してきました。
UGCを活用すれば、ユーザー目線で情報を発信しながら信頼性を獲得できます。企業としてはUGCをクリエイティブとして活用することで工数削減なども狙えるのでぜひ活用していきたいところです。
ファンとコミュニケーションを取ったりしてUGCを獲得していきましょう。